市町村国保の都道府県単位化で法案提出へ/4閣僚と与党
藤村修官房長官、川端達夫総務相、安住淳財務相、小宮山洋子厚生労働相の4大臣は12月20日、市町村国保の都道府県単位化を円滑に進めるための国民健康保険法改正案を2012年の通常国会に提出することで合意した。社会保障・税一体改革への対応で、開かれた「国と地方の協議の場」の結果を踏まえて、前原誠司政策調査会長も含めて合意内容を確認した。
市町村国保の都道府県単位化では、レセプト1件80万円以上の高額医療費を保険者共同で負担する「高額医療費共同事業」と、レセプト1件30万−80万円の医療費を保険者で共同負担する「保険財政共同安定化事業」の既存制度を活用する。この2事業はいずれも10年度から13年度までの暫定措置だが、これを15年度に恒久化する。さらに、共同事業の対象となる医療費を現在の30万円から1円以上に引き下げることで全てのレセプトを対象とし、実質的に保険者財政運営の都道府県単位化を図る。
また、都道府県調整交付金を現在の7%から9%へ2%ポイント引き上げる。都道府県の調整財源が増えれば、損をする保険者に補てんしやすくなり、都道府県単位化が進むようになる。
●特定疾患治療研究の地方超過負担も解消
また4閣僚は、年少扶養控除の廃止に伴う地方税増収分の一部を特定疾患治療研究事業の財源に充てることでも合意した。難病患者の医療費を助成する特定疾患治療研究事業は、予算の範囲内で国が事業費の2分の1を補助することになっている。11年度は、特定疾患治療研究事業費1200億円のうち、2分の1に当たる600億円が国庫補助となるが、実際の国庫補助額は280億円(交付率46.7%)で、必要な補助額を満たしていなかった。このため事業費の都道府県の超過負担が続いており、政府と地方の代表が協議する「国と地方の協議の場」でも、全国知事会や地方公共団体から地方超過負担の解消を求める声が上がっていた。
このため12年度の暫定的措置として、年少扶養控除の廃止に伴う地方税増収分の一部269億円を同事業の財源に充て、都道府県の超過負担解消を図る。この問題の早期の解消を目指すことも4大臣合意文書に明記した。(12/22MEDIFAXより)