市町村国保、実質2633億円の赤字/09年度  PDF

市町村国保、実質2633億円の赤字/09年度

 厚生労働省は2月4日、2009年度の市町村国保と後期高齢者医療広域連合の財政状況を公表した。市町村国保は収入12兆8975億円(前年度比1.4%増)に対し、支出は12兆8070億円(同1.3%増)。単年度収支差引額は61億円の黒字だが、黒字額は前年度より32億円減少した。市町村の一般会計からの決算補填目的の繰入金を除いた実質収支は2633億円の赤字で、赤字額は250億円増加した。

 収入は、保険料収入が3兆472億円で、被保険者が前年度より31万人減少し3566万人となったことや、保険料(税)収納率が88.01%(前年度比0.34ポイント減)に低下した影響などで、前年度より0.5%減少。国庫支出金は3兆2259億円(同4.3%増)、市町村一般会計からの法定外繰入金3592億円(同2.2%減)、前期高齢者交付金2兆6675億円(同9.5%増)だった。

 一方、医療保険給付費は8兆5496億円(同2.5%増)、後期高齢者支援金は1兆5766億円(同10.6%増)と増えた。

 保険料(税)収納率は2年連続の低下となった。11年6月1日現在の滞納世帯数は約436万世帯で前年同期より5.6万世帯減少したが、総世帯数も減少したため滞納世帯割合は増減なしの20.6%だった。

●後期高齢者、09年度は508億円の黒字
 09年度の後期高齢者医療制度の財政収支は収入が11兆7207億円、支出は11兆4146億円で、収支の差引合計額は3061億円の黒字となった。収入から特例交付金と繰越金、支出から基金積立金などを除き、国庫支出金精算額を考慮した精算後の単年度収支差引額は508億円の黒字で、08、09年度の合計収支差引額は計1916億円の黒字となった。各広域連合はこのうち1139億円を、10、11年度の保険料上昇抑制のために活用しているという。

 09年度で赤字の広域連合は東京、愛知、大阪の3つ。厚労省保険局高齢者医療課は「09年度に限れば赤字(の広域連合)がもっと出てもおかしくなかった。3つとも大した赤字額ではない」と述べ、想定よりも黒字だったとの認識を示した。その上で「給付費が各広域連合の見込みよりも伸びていないことが要因。(黒字が多かったことについて)たまたまと言えばたまたまだ」とも付け加えた。

 被保険者は09年度末で1389万人(前年度比44万人増)。収納率は全国平均で99.00%(同0.25ポイント増)。このうち、年金から天引きとなる特別徴収を除いた普通徴収の収納率は97.60%(同0.65ポイント増)だった。普通徴収の徴収率が上がったことについて高齢者医療課は「各広域連合が頑張ってくれた。(後期高齢者医療制度導入から)2年目で軌道に乗ったのだろう」としている。(2/7MEDIFAXより)

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