市町村国保、厳しい財政状況続く/厚労省10年度分公表
厚生労働省は2月3日、2010年度の市町村国保と後期高齢者医療制度の財政状況(速報)を公表した。市町村国保では収入13兆1253億円(前年度比1.7%増)に対し、支出が12兆9900億円(同1.4%増)。決算補填のための一般会計繰入金を除いた収支は3900億円の赤字で、赤字額は前年から650億円増加した。厚労省保険局国民健康保険課は「依然として厳しい財政状況が続いている」としている。
市町村国保の保険料(税)収入は2兆9851億円で前年度から2.1%減少しており「所得の減少に伴う調停額の減少が主な要因と考えられる」(厚労省保険局国民健康保険課)という。国庫支出金は3兆3182億円(同2.8%増)、前期高齢者交付金は2兆7131億円(同1.7%増)、都道府県支出金は8716億円(同5.4%)。一般会計繰入金については、法定分で4330億円(同7.0%増)、法定外分で3979億円(同10.5%増)だった。
支出については、医療保険給付費が8兆8258億円で前年度から3.2%増加した一方、後期高齢者支援金は8.0%減の1兆4513億円だった。介護納付金は6268億円(同6.2%増)だった。
保険料(税)収納率は、全国平均で前年度から0.59ポイント増加し88.6%。後期高齢者医療制度創設以降、初めて上昇に転じた。収納率の上昇について、厚労省保険局国民健康保険課は「保険料(税)減免措置の拡大や景気が比較的安定したことにより、納付しやすい環境が整ったことなどが要因と考えられる」と分析している。
●後期高齢者「財政は安定運営」
10年度の後期高齢者医療広域連合の財政状況については、収入合計が12兆2421億円、支出合計が12兆1127億円。実質的な単年度収支は95億円の赤字だが、前年度までの余剰金などで1293億円の黒字となった。厚労省保険局高齢者医療課は「財政は安定的に運営」としている。
保険給付費は11兆7340億円で、前年度から6.3%増加。被保険者数については10年度末時点で1434万人(同3.2%増)だった。
保険料の収納率は全国平均で99.1%。うち、年金から支払う特別徴収分を除いた普通徴収分については97.72%だった。(2/6MEDIFAXより)