市リハセンの役割を正しく評価せよ
リハ行政前進を求め関係各位と連携すすめる
専門職団体と共同要望書を提出
京都市が身体障害者リハビリテーションセンターの病院・施設機能の廃止・縮小を検討していることを受け、協会は京都府作業療法士会、京都府言語聴覚士会と連名で京都市長宛て要望書「京都市におけるリハビリテーション機能を縮小してはならない」を提出した。
要望書は、専門職として、リハビリ医療の必要な患者さんたちと日々接する立場から、市リハセンの機能は縮小どころか、充実・発展させるべきと求めている。その理由として次の2点を指摘した。(1)現在の医療保険制度では、回復期リハの入院日数制限(150日)、疾患別リハの算定制限(原則最大180日)等により、必要十分なリハビリ保障が阻害されている。自治体がリハビリ医療を直接担う機関を持ち、国制度の欠陥を補っていることの意味は大きく、他自治体に対しても誇るべきであること。(2)リハビリ医療が迫られている課題は複雑・高度化しており、高次脳機能障害や重複障害、両側切断、脊髄損傷、軸索損傷、新しい難病等は、私的医療機関にまる投げしてはうまくいかない実情があること。こうしたことから、市が引き続き、公的に入院機能を有し、先頭に立ち、先進事例を積み重ねるよう要請した。
なお、京都府理学療法士会は、現在、「リハビリテーション行政の在り方検討専門分科会」に委員を出しており、直接意見を言える立場であることへの配慮から、連名を辞退していることも追記した。
要望書は市当局に提出すると同時に、京都市会の各会派にも情報提供し、この問題を議会で取り上げ、京都市が市民の財産であるリハセンの今後について、またもや財政事情優先で過った道を進まないように議論してほしいと要請した。
市民の側からあるべきリハ行政の提起を
市リハセンをめぐっては、市民・専門職が一堂に会し、京都市のリハビリ行政の現状と未来を考える機会を作るべく、4月1日、協会が呼びかけ団体を担う実行委員会を結成した。第1回実行委員会に出席したのは、リハ専門職種の団体、障害のある人たちの団体やリハセンで働く職員など。協会からは垣田副理事長が出席し、冒頭にあいさつ。京都市の姿勢は極めて問題がある。シンポジウム等の開催を通じ、市民の側からあるべき京都のリハ行政を提起したいと述べた。
出席者からは、リハに取り組む民間病院が広がっていることや市リハセンの老朽化等をリアルに踏まえたとしても、市の公的な役割を後退させて良いことにはならないとの意見が相次いだ。また、今回、市が設置した「リハビリテーション行政の在り方検討専門分科会」の委員に、リハセンの利用者・患者の参画がないまま事態が進もうとしていることに関し、「当事者なしで決める市の姿勢は問題」との指摘もあった。
この日の会議では、概ね次の3点が共有された。(1)例えば「総合福祉センター」のイメージでリハセンの機能を拡充させるビジョンを持つべき、(2)現在に至るまで、リハセンが果たしてきた役割を評価する。その機能を失わせてはならない、(3)京都市の医療・福祉・保健の総合ビジョンを持たず、公的責任を放棄する姿勢は批判されねばならない。
実行委員会は緊急に市民も対象とした取り組み企画の具体化をめざし、会合を積み重ねる。具体的には5月11日開催を予定している。