山科医師会と懇談/診療所経営に影落とす改定に危惧
2月9日 山科医師会診療センター
協会は山科医師会との懇談会を2月9日に開催。地区から6人、協会から6人が出席した。山科医師会の紀田貢理事の司会で開会。鈴木学会長が「社会保障・税一体改革も本日のテーマに挙がっているが、国の財政赤字も国民一人当たり約850万円の借金になり、財政再建も必要になると思う。国はTPP交渉に参加意向だが、医療への影響も危惧される。一体改革では消費税増税による国民への影響が心配である。今年も医療界においては大きな問題がある」と挨拶、続いて協会の関浩理事長が挨拶し、各部会から「社会保障・税一体改革」や「診療報酬・介護報酬の同時改定」、各部会の報告を行った後、質疑応答を行った。
まず社会保障・税一体改革に関して意見交換。地区から「一体改革のマンパワー必要量の見込みで、2025年の改革シナリオによると医師を1万人減らし32〜34万人に抑えるとしている。現在は医学生も女性が多く、生涯働けるのか疑問であり、厚労省は現在の医師数に余裕があると思っているのか」との質問が出され、協会からは「厚労省は、医師が行っている医療行為を看護師や薬剤師、介護福祉士などの他職種に移し、医師数を削減することを考えている。医療行為が他職種に移るのはそれなりに進むと思うが、医師の本来の役割を果たせるように注視していきたい」と答えた。さらに、「政府は患者を在宅に戻そうとしている。在宅で看取りができればよいが、現実には厳しい。老老介護や独居の場合など、今後どのように解決していけばよいのか見通しがつかない。在宅の患者を増やすのは間違っている。このままだとパンクする」との地区の意見に対し、協会から「仰る通りで、独居の患者さんや老老介護のケースに遭遇すると、国が考える自助や共助ではどうしようもない実態がある。このような在宅の現場の実態を訴えていく必要がある」と述べた。
診療報酬改定については、「時間外対応加算」に名称変更し3区分になった地域医療貢献加算と処方せん料の一般名処方加算などについて意見が交わされ、診療所にとってはあまりよい改定内容ではないことを再認識し、今後の地域医療や診療所経営に対する危惧が出された。
その他、地区からの政府はもっと子育てに費用を使うべきではないかとの意見に対して、協会も子育てへの支援が必要であることを述べるとともに、一体改革で出された新保育システム・幼保一体化では、必要な人が費用を払い契約入所させる仕組みに変えられようとしており、ますます子育て支援制度がないがしろにされようとしていると付言した。
最後に、協会が行っている反核、反原発、護憲、環境などの活動に関して、政党との関わりなど会員の疑問に答えるかたちで忌憚のない意見を交換。疑問が解消したとして、懇談を終了した。
12人が出席して開かれた山科医師会との懇談会