小卒まで償還で通院助成の拡充案/新たに訪問看護療養費の助成も
府の検討会
第3回京都府福祉医療制度検討会が12月5日に行われ、これまでの議論を踏まえ、京都府から提言案が示された。一つは、訪問看護療養費を福祉医療制度の助成対象に追加する。もう一つは、子育て医療助成について、府制度の通院に係る対象年齢を小学校卒業まで拡大し、入院も通院も、少なくとも小学校卒業までは助成対象として統一する。拡大部分の内容は3歳から就学前までと同じく月3000円超額を償還払いとするというもの。京都府の提言は、年内に取りまとめが行われ、市町村と協議・調整を行い、判断される流れとなっている。
委員からは、前者については提言案に賛成の意見が出された。後者については、小児科医からの「経験的に言えば、今回の拡充対象である小学校入学から卒業までの子どもはそれほど医療機関にかかる機会も多くない。そのため3000円超の償還払いは、あってもなくても同じ」との意見に象徴されるように、対象年齢の拡充に対しては一定評価しつつも、内容の不十分さの指摘もあった。しかし、全体としては致し方なしとする状況であった。また、「患者負担を減らすことは、コンビニ受診を助長することになる」との主張については、子育てを行う親への教育なども含めて総合的に議論されていくべきとの意見が出された。
また市町村の立場から、就学前まで現物給付を拡げるなどさらなる上乗せを求める意見があった。すでに現在、多くの市町村が今回の提言案以上の助成を行っており、府の助成拡充により、各市町村の負担が軽減される。そこで市町村は軽減された財政負担をさらなる拡充に向けたいが、その一歩を踏み出すのは、今回の府の助成だけでは厳しい状況である。
一方で、「助成を拡充すれば府の赤字を増やすことになる。その負担は結局、孫世代にのしかかるのであり、将来的な展望も含めて考えていかなくてはならない」とし、助成拡充によって財政をひっ迫することを危惧し、府民の健康度が上がったなどの客観的な数値による事業評価の実施を重要視する声もある。
協会は、従来から、小学校卒業までの現物給付での無料化を求めてきた。しかし議論の経過をみる中で、今回については、少なくとも「入院外について小学校就学前まで1医療機関月200円」の助成実現を求め、12月9日、京都府及び各会派へ要望書を提出した。京都市及び各会派にも同様に、京都府に対して助成を拡充するよう求める要望書を12月12日に提出している。子どもたちの生命と健康を守るためには、必要な医療機関への受診が保護者の経済事情によって左右されることがあってはならない。子育て支援医療助成制度は、そのために極めて重要な制度であり、その観点から、今回の検討会提言案は十分でなく、より一層の充実が必要と考えている。