小児の時間外診療に1割負担を/山口県医、県議会と県に要望
小児救急医療での“コンビニ受診”の増加を受け、3歳から9歳までの時間外診療は患者に医療費の1割を負担させるよう、山口県医師会が県議会と県に要望している。現行は、県からの助成で小児医療費は無料になっており、県議らからは「医師会がそんな要望を出していいのか」と驚きの反応が出ているが、県医師会は小児救急医療の深刻な状況を踏まえて決断に至ったと説明している。
「小児医療対策の推進について」と題した要望は2008年度の予算編成に合わせ、07年9月に県議会厚生委員会と県健康福祉部に提出した。内容は(1)小児医療費助成の対象年齢を現行の6歳から9歳にまで延長、(2)所得制限(市町民税所得割額) の撤廃、(3)3歳から9歳までの時間外診療に患者の1割負担制を導入─など。3歳未満については重症化につながる可能性が高いため、受診時間に関係なく医療費の全額助成を継続するとしている。
県内では基幹病院の小児科医の勤務環境改善に役立つよう、地元の開業医が夜間救急診療を担当している地域もあるが、県医師会によると、親の都合に合わせて夜間に受診する患者が増え、このまま進めば救急機能の維持に影響を及ぼす可能性もあるという。
県医師会の弘山直滋常任理事は「昼に受診して待たされるより、仕事から帰ってきて夜間に連れて行ったほうが都合がいいと考える親によってコンビニ化が進んでいる。何とか適正化を図りたい」と1割負担提案に踏み切った理由を話す。
県医師会は08年も予算編成前に同様の要望を行う予定だ。1割負担を実施した場合、少子化対策の後退と受け止められるのを県が嫌うことも予想され、現時点で実現の見通しは立っていないが、弘山常任理事は「小児科のドクターが倒れてからでは遅いということを引き続き訴えていく」としている。今後は県民に向けたアピールも検討する。(8/18MEDIFAXより)