小中高生の社会保障教育を強化/厚労省  PDF

小中高生の社会保障教育を強化/厚労省

 厚生労働省は、給付と負担の関係も含めて社会保障制度全般に対する理解を深めてもらうため、未来を担う若者への社会保障教育を強化する計画を立てている。文部科学省と連携しつつ、2012年度から小中高校生への社会保障教育プログラムを試行的に導入する予定だ。

 全国を7ブロックに分け、各ブロックでモデル地域を1カ所選び、民間団体・企業に小中高校生への教育プログラムを委託する。委託先が児童・生徒への授業やセミナーの開催のほか、福祉施設・行政機関の見学・実習会を行う。厚労省は12年度予算概算要求で6100万円を要求中。現段階では12年度以降の事業は確定していないが、厚労省は複数年度で事業化したい考え。12−14年度の3年間程度でモデル実施する構想で、結果を社会保障審議会に報告し、全国展開していきたい考えだ。

 「少子高齢化だし、どうせ年金は破綻するのでしょう?」「今の若者は負担ばかりで受益はないから、老後には自分で備えた方がマシだよね」といった社会保障制度に対する不信感が、大人から子どもに伝わり、制度そのものに対する不信感を醸成していると厚労省はみている。子どものうちから社会保障制度になじんでもらい、制度に対する国民全体の理解を深めていきたい考えだ。

 これを踏まえ厚労省は10月11日に「社会保障の教育推進に関する検討会」(座長=権丈善一・慶應義塾大商学部教授)を立ち上げ、社会保障制度がどのように誤解されているかや、教育現場で社会保障制度を学んでもらうためのポイント整理などを始めた。教師が授業で使用しやすい社会保障制度指導用のマニュアルも作成する。検討会は年度内に7回開催する予定。次回以降、参考人からヒアリングを行うほか、授業のポイント整理作業に取り組み、教材を作成していく。出来上がった教師用マニュアルは、12年度に全国7カ所で行うモデル事業に活用する予定だ。香取照幸社会保障担当政策統括官は初会合の冒頭、「検討会のゴールは決めていない。こういった方向性を出してほしいという要望はなく、委員には幅広い視点で議論してもらいたい」と述べた。フリーディスカッションでは「教師側も社会保障制度のことをよく理解していない」「覚える言葉が多過ぎて教育現場でイメージしづらい」など、さまざまな意見が出た。(10/12MEDIFAXより)

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