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各科から見直し要求続々 検査、材料代包括点数の不合理拡大

 協会は専門医会長との懇談会を3月23日に開催。専門医会から12人、協会から9人が出席した。(1)理事及び保険審査通信検討委員の改選、(2)保険審査通信検討委員会と審査なんでも相談、(3)2012年度審査に関するアンケート調査結果、(4)各科別の医療費の動向、(5)社会保険研究会・診療内容向上会の開催について担当理事が説明を行い、各専門医会からは各科の2012年改定の不合理部分、次回改定への要求、協会活動への要望などについて意見を聞いた。

各科の意見を伺った専門医会長との懇談
各科の意見を伺った専門医会長との懇談

材料価格高騰で手技料見合わず

 (内科) 近年材料価格が上がっており、それが医療費の増加要因。増加分は医療機関以外のところに流れている。7種類以上の内服薬投薬に対する算定制限や消費税増税で、医療機関はますます打撃を受けるだろう。

 (小児科) 小児科はマルメの小児科外来診療料を算定しているところが多い。最近は保育所や学校からの要請もありインフルエンザ、RS、アデノ、ロタ等の迅速検査が増えてきており、マルメ点数を圧迫している。増点が必要だ。

 (外科) 衛生材料代、機器代が高くなっており、最近増えている腹腔鏡手術では持ち出しになることも多い。技術料や加算の見直しが必要だ。

 (産婦人科) 管理栄養士配置義務化は対応が困難。産婦人科は慢性疾患の指導料が何も算定できず、また内診が必須であり女性看護師の配置も必要。再診料の引き上げを含めて対応が必要である。

 (眼科) コンタクトレンズ(CL)検査料の問題が引き続きある。いったんCLを処方するとCL装用が続く限り、一部例外を除いて別の検査料は算定できず、またCL処方時以外も初診料が算定できない。このような点数が容認され続けると他科にも波及しかねない。改善が必要だ。
 (泌尿器科) 3カ月ごとに3回までとされているPSA検査の回数制限は問題。また悪性腫瘍以外で特定疾患療養管理料が算定できる疾患がなく、少なくとも神経因性膀胱は認めてほしい。
 (消化器) やはり材料代が高いことが問題。内視鏡等の点数でも、包括されるディスポーザブルの材料が高く、手技に見合う点数になっていない。また、特定疾患療養管理料については、関節リウマチ等医学的管理が必要な疾患を対象に加えるべきと考える。
 (形成外科) 大病院で行う大きな手術の点数は少しずつ上がったが、中小病院・クリニックで行う小さな手術は上がっておらず、高くなる一方の材料代や人件費を賄うためには増点が必要だ。
 (糖尿病) 管理栄養士による外来・入院栄養食事指導料の引き上げを以前より繰り返し要求している。皮下連続式グルコース測定は非常に情報量が多く有用な検査だが、医師2人という施設基準があり、診療所では実質的に算定ができない。また、経口薬で治療中でも必要に応じて血糖自己測定器加算の算定を認めてほしい。
 (透析) 経皮的シャント拡張術・血栓除去術の点数が相当引き上げられたことは喜ばしく思う。今後、2018年には透析患者数は頭打ちになる。そうなれば引き下げられ続けている慢性維持透析の点数も下げ止まるのではないかと期待している。
 (循環器) 材料価格の高さに比べて技術料が低いことが問題。世界標準の評価を要求すべき。協会の審査アンケートは、審査委員会にばかり問題があるような誤解を与えかねない。多くは診療報酬決定の時から生じている問題であり、質問項目を工夫してもらいたい。

さなざまな運動課題を確認

 協会からは、高騰する材料価格については、外国価格参照制度があるものの、公定価格決定に材料メーカーが関わっている構造が変わらない限り、ここを突破するのは難しい。更にTPPに参加することになれば、中医協で償還価格を決めること自体、自由な資本の活動を妨げているとして、攻撃の対象となってくる可能性が高く、重要な運動の課題と考えている。
 意見交換の中で出された審査アンケートについては、ご意見をふまえて検討を行いたい。その他にも、審査委員会が保険者からの再審査請求に対して公正に対処し医療機関の盾となっていること等、審査委員会の果たしている役割が会員に見えにくい面もあるので、会員の理解が進むよう情報提供等しっかりと取り組んでいきたいと答えた。
 最後に、各医療機関、各専門医会、そして審査委員会が協力して国民皆保険を守るために取り組んできたことを、各科の若い医師に伝え継承していくことをお願いして、懇談会を終了した。
 
 
 

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