専門医会長との懇談会を開催  PDF

専門医会長との懇談会を開催

初・再診料引き上げ求める声多く

 協会は専門医会長との懇談会を5月14 日に開催。専門医会から12人、協会から8人が出席した。2016年度診療報酬改定をテーマに、協会からは改定の特徴と意義について解説を行い、各専門医会からは改定への評価と改善要望等について意見を聞いた。

高薬価薬剤の増加に懸念

 内科:最近非常に高価な薬剤が登場している。例えばオプジーボの場合、1年間の薬剤費は1兆7500億円に達すると推計され、保険財政上極めて大きな問題となる。今後薬価をどのように決定していくのが良いかは非常に悩ましい。

 胸部:オプジーボの問題は同感である。改定では、喘息等の吸入療法で使用するスペーサーが、一部保険で評価されたことは歓迎したい。また、COPDについては運動療法も有効であり、今後の保険適用を希望する。

 小児科:まず診療内容向上会の協会事業としての位置づけをお聞きしたい。改定で、小児かかりつけ診療料が突然出てきたという印象。患者の囲い込みに繋がるという懸念もあり積極的に評価する声は聞かない。

 外科:夜間休日救急搬送医学管理料が平日夜間も対象となったこと、多くの手術技術料のアップ、イレウス用ロングチューブ挿入法の増点は評価している。一方、鼠径ヘルニアの短期滞在手術等基本料3の点数(3歳以上)の引き下げは、使用する材料代等を勘案すると納得しがたい。また両側乳がんに対する病理診断が左右別に算定できない不合理の改善をお願いしたい。

 産婦人科:帝王切開術の点数が元に戻って安心している。また、分娩を扱わない医療機関にとっては初・再診料が非常に大切であり、分娩を扱っている医療機関にとっても、分娩自体は非課税であり消費増税となると損税が大きくなる。是非次回改定では初・再診料の増点を望む。

 眼科:短期滞在手術等基本料3の水晶体再建術に両側の評価が新設されたが、片側の評価は大きく引き下げられた。また、眼科診療には機械が必須だが、近年機械の値段が高騰しており、診療報酬が機械代に消えているのが現状だ。

 耳鼻咽喉科:内視鏡の鼻中隔・鼻腔の手術が新設されたが、むしろ点数は下がっている。また、乳幼児の処置は大変であるが、それに対する評価はほとんどない。今回の改定の主要項目であるかかりつけ医はほぼ関係がなく、在宅も十分な診療のできる体制がない。その中で、初・再診料の重要性があらためて認識されている。

 精神科:向精神薬の適切な処方促進として、今回、新たに抗精神病薬または抗うつ薬の3種類以上の投与に関して通院・在宅精神療法が100分の50の減額となった。十分な議論なしに精神科医療の基本報酬部分を減算したことは、その不合理性とともに承服できない改定である。

 消化器:そもそもの内視鏡の点数が低く、がんを取り除いても自己負担は5千円程度で、とても最新機器を入れられる状況にはない。薬剤総合評価調整管理料ができたが、6種類以下になれば処方せん料も上がるのに、それに加えて管理料を取ることに患者から理解が得られるとは思えない。

 整形外科:湿布の投与制限は問題ではあるが、患者からの要望は際限がないこともあり、致し方ない部分もある。消炎鎮痛等処置は療法士を配置して実施している医療機関もあり、せめて外来管理加算と同程度まで増点してもらいたい。

 形成外科:皮膚レーザー照射療法の乳幼児加算が増点されたことは評価できるが、そもそも3カ月を一連として算定すること、算定回数にも制限があることは不合理であり再考を求めたい。現状では大半の医療施設が3カ月に1度しか照射を行っておらず、苺状血管腫消退後の変形を残したり、単純性血管腫の完全消失の機会を失する結果に繋がる。その他、唾液を検体とするステロイドホルモンの測定や食物IgG検査の保険収載を希望する。

 循環器:内服薬の7種類以上減算は不合理である。循環器以外の疾病も併せて管理しているために多剤投与となるのに、その方が点数が低くなることは納得しがたく是非改善を望む。

 協会からは、高薬価問題について市場拡大再算定の特例など高薬価を是正する仕組み自体はあるが、TPPを含めて新薬の保護を求める外圧が強まっている中で、適正な薬価を設定するルールが必要だと回答した。診療内容向上会については、重要な事業であり継続して共催をお願いするとともに、持ち方についてご要望があれば個別に相談の上進めたい旨お伝えして懇談会を終了した。

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