実地研修修了前に介護福祉士取得OK/たん吸引検討会で厚労省
7月22日の「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」(座長=大島伸一・国立長寿医療研究センター総長)の最終会合で厚生労働省は、介護職らがたん吸引などを行えるようにするための研修内容やカリキュラム、たん吸引などが標準業務となる新しい介護福祉士の養成課程について最終案を示した。介護福祉士の新養成課程については、国家試験受験要件として実地研修修了を義務付けない仕組みを導入する。
●全体で4つの研修パターン
厚労省が省令で規定する事項として示した研修類型の最終案は▽介護福祉士養成課程に乗らない介護職らが「たん吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)」と「経管栄養(胃瘻、腸瘻、経鼻経管栄養)」の全範囲を行う類型▽介護福祉士養成課程に乗らない介護職らが「気管カニューレ内のたん吸引」と「経鼻経管栄養」以外の範囲を行う類型▽重度訪問介護従事者養成研修修了を前提とした特定の利用者に対して行う類型─の3類型と、介護福祉士養成課程での研修の全部で4パターン。
このうち、全行為全範囲が基本的な標準業務となる介護福祉士の養成課程では、国家試験受験までに全ての実地研修修了が間に合わないケースなどを想定し、国家資格取得段階では、基本研修とシミュレーター演習修了までを要件とする。
実地研修は就業後、たん吸引などのサービスを提供する事業所などで必要に応じてOJTとして行い、修了することも認める。ただこの場合、基本研修受講から実地研修修了まで期間が空いてしまうケースが出てくる。この点に関して因利恵委員(日本ホームヘルパー協会長)が「基本研修修了後、2年なのか3年なのか、有効期限について見えない」と指摘し、有効期限を定める必要性に言及。これに対し老健局振興課の川又竹男課長は会合後、記者団に対し「(有効期限を設けるか否かについては)白紙。これから検討する」と述べた。
このほか、介護福祉士養成課程に乗らない研修課程でたん吸引などの実施認定を受けた介護職らが将来的に介護福祉士資格を取得した場合の取り扱いなど、細かな規定は「省令で定める」(社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室)とするにとどめた。
●安全確保措置・研修水準に意見集中
新制度の詳細を決める省令策定前の最後の全体会合となったこの日は、安全確保や介護職らが受講する研修の水準を一定にするための対策について、委員らの意見が集中した。指摘のあったポイントは▽実地研修の共通評価基準▽たん吸引などを実施する事業所に対する定期的なフォローアップ体制の整備▽個別の行為の評価─など。安全確保措置については、川又課長が「在宅と施設を分けて、省令、通知などでマニュアルや報告義務などの決まりを細かくつくっていきたい」と述べた。
また、新たに一部医行為が行えることで安上がりな労働力として介護職に負担が押し寄せないよう、報酬上の評価は不可欠とする声もあった。(7/25MEDIFAXより)