定額負担、診療側と支払い側で見解割れる/中医協総会  PDF

定額負担、診療側と支払い側で見解割れる/中医協総会

 中医協は9月28日の総会で、高額療養費制度の見直しと受診時定額負担について議論した。この問題は社会保障審議会・医療保険部会で結論を出すことになっており、中医協には決定権がない。後日、医療保険部会の審議結果が中医協に報告されることになる。

 診療側委員は、ほぼ全員が高額療養費の負担軽減について必要性を認めたが、患者の自己負担をさらに増やすことには全員が反対。一方、支払い側委員からは、保険料や公費で財源を工面するのには無理があり、もし高額療養費の負担軽減策を実施するのなら受診時定額負担を検討すべきとの意見が相次ぎ、診療側と支払い側で見解が割れた。

●受診抑制で2000億円の効果
 安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は厚生労働省に対し、仮に受診時定額負担の上乗せ徴収額を100円とした場合の財政影響を確認した。年間の外来受診数を基に2000億円の財源と、2000億円の受診抑制効果の合わせて4000億円の財源(公費ベースで1300億円)を厚労省が見込んでいることを確認すると、「受診抑制を見込んだことは中医協委員として遺憾だ」と強調。「高額療養費の負担軽減のような誰も反対しないものを人質にとって、受診時定額負担を入れるのは失礼だ」と述べた。

 嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)は「高額療養費の負担減に反対する人はいないだろうが、フリーアクセスを阻害すれば、がん診療などで治療成績に影響が出かねない。複眼的に波及効果を見るべきだ」と牽制。その他の診療側委員も受診時定額負担に反対した。

 これに対して支払い側は、小林剛委員(全国健康保険協会理事長)が「受診時定額負担も選択肢の一つ。医療保険部会で具体的な議論をしてほしい」と述べると、白川修二委員(健保連専務理事)も、高額療養費の負担減を見送るか、患者負担を増やすかのどちらかしかないとの見解を示した。(9/29MEDIFAXより)

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