安心・安全社会実現など特別枠7000億円/12年度予算・概算要求基準
政府は9月20日、2012年度予算の概算要求組み替え基準を閣議決定した。「日本再生重点化措置」として約7000億円の特別枠を設けた。特別枠には「安心・安全社会の実現」など4分野が当てはまる。社会保障費の自然増1兆1600億円は全額を認めるが、厚生労働省には、10年度税制改正での年少扶養控除の見直しによる地方増収分0.5兆円を控除して要求するよう求めた。0.5兆円の取り扱いは予算編成過程で検討する。厚労省の社会保障関係費の概算要求額は、前年度経費に自然増分から0.5兆円を引いた金額になる。
同基準は、財務省が8月に各省に通知した概算要求に関する作業手順書を踏まえて策定した。歳出の大枠は、国債費などを除き11年度と同じ71兆円。各省庁が裁量的経費などを11年度当初予算比で一律10%削減し、自然増分の財源を確保することに変更はない。特別枠は削減額の1.5倍まで要求可能で、厚労省は約1050億円要求できる。特別枠の全省庁要求額は計2兆円弱になり、それを7000億円程度に絞り込むことになる。
特別枠の対象となる重点分野は、安心・安全社会の実現のほか「新たなフロンティアと新成長戦略」「教育・雇用などの人材育成」「地域活性化」―の4分野となった。
●予算編成の政府・与党会議を設置
東日本大震災からの復旧・復興対策については、11年度第3次補正予算と12年度予算を一体的・連続的に編成すると記載した。復旧・復興対策と、B型肝炎関連経費は必要な金額を要求し、歳出の大枠に別途加算する。
閣議では、特別枠による予算配分の重点化や、予算編成過程での重点課題を検討するため「予算編成に関する政府・与党会議」を設置することも決めた。政府側のメンバーは、首相や官房長官、財務大臣などを想定。会議の下には、副大臣級で構成する実務者会合も設置する。会合は、概算要求を9月末に締め切った後にスタートする。
安住淳財務相は閣議後会見で、厚労省が要求から控除する年少扶養控除見直しの0.5兆円分の取り扱いについて「削減する意向か」という質問に対し、「これから厚労省と話をさせていただくが、今の考えではそう(削減する)。総理の意向も踏まえて対応したい」と述べた。その財源を、特別枠に回す考えだ。
小宮山洋子厚生労働相は閣議後の会見で、社会保障費の自然増分が全額確保されたことについて「前の(自公)政権とは違う大きな特徴。少なくとも今の社会保障のレベルを維持するということで、厚生労働行政を進める上で大きな力になると思っている」と述べた。今後の要求については「厚労行政をとりまく諸課題にしっかりと対応して、ニーズに即応したメリハリある要求を行いたい」と語った。(9/21MEDIFAXより)