安全データのパッケージ化を提案/レセプト情報提供有識者会議  PDF

安全データのパッケージ化を提案/レセプト情報提供有識者会議

 厚生労働省は6月20日の「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」(副座長=山本隆一・東京大大学院情報学環准教授)に、個人が特定できないような安全性の高いレセプト情報・特定健診情報をあらかじめ「基本データセット」としてパッケージ化し、希望者に効率的に提供する仕組みの導入を提案した。レセプト情報を試行的に提供する2011−12年度中の完成を目指す。

 11−12年度の試行期間では、受け付けた申請ごとに、提供するレセプト情報などを個別に検討し、有識者会議に諮ることになっている。ただ、個別の検討では審査にかかる期間や事務コストが膨大になることが考えられるため、将来的に?個人の特定可能性について十分に配慮されている?学術研究にも活用できる形式―という要件を満たしたデータ形式をあらかじめ設定することを提案。利用者の利便性や、審査の効率化につながるとした。

 すでに「社会医療診療行為別調査」や「医療費の動向(メディアス)」などを公表していることを踏まえ、これらの政府統計と異なるレセプト情報特有の性質を生かしたデータセットとすることが望ましいとした。

 厚労省は、有識者会議での議論に加え、統計の専門家や学会などの意見などを参考にしながら検討を進める考えだ。

●医療計画策定にもレセプト情報活用を
 この日の会議では松田晋哉委員(産業医科大医学部教授)が、レセプト情報を活用し2次医療圏ごとの傷病構造や医療提供体制を把握する目的で実施した「ナショナルデータベースを用いた医療計画策定のための基盤資料の作成に関する研究」の途中経過を報告した。貝谷伸委員(全国健康保険協会理事)は「多くの行政、自治体がこのような手法を活用し、客観的分析に基づく医療計画が作られればありがたい」と指摘。「できるだけ多くの都道府県で研究成果が生かされるよう、配慮してほしい」とレセプト情報提供に関する柔軟な運用を求めた。厚労省は「データベースの集計公表形式の一環として、分析したデータを定型的に出していくことはあり得るかもしれない。あるいは、医療計画に使うという特定の目的で厚労省の所管部局から有識者会議に諮り、13年度から始まる医療計画の策定に間に合うように集計結果を提供することは可能では」とした。

●10人未満は公表認めない/公表形式の基準案
 厚労省はこの日の会議に、レセプト情報などを活用して実施した研究の成果を公表する際の「一応の基準(案)」を示した。前回(3月3日)の会議に示した基準案に、委員の意見などを踏まえ修正を加えた。原則として、患者・受診者の集計単位が10人未満となる公表形式を認めないことや、集計方法によって該当医療機関が2以下となる場合は、医療機関が特定される可能性が高いことから、10人以上であっても公表できないなどの規定を盛り込んだ。(6/21MEDIFAXより)

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