季節性・新型混合3価ワクチン「重大な懸念なし」  PDF

季節性・新型混合3価ワクチン「重大な懸念なし」

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会・医薬品等安
全対策部会安全対策調査会と新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会の合同会議(座長=松本和則・獨協医科大特任教授)は12月6日、季節性インフルエンザワクチン(A/H3N2、B型)と新型インフルエンザワクチン(A/H1N1)混合の3価ワクチンの安全性について議論し、「安全性に重大な懸念は認められない」との意見で一致した。

 11月30日までの報告で、医療機関納入数から推定した推定接種可能人数は4500万回だった。死亡例は12例(医療機関報告8例、企業報告4例)あり、うち4例がワクチン接種と死亡について「因果関係あり」と報告されているが、専門家の評価では死亡とワクチン接種に因果関係が認められた症例はなかった。

 副反応について専門家の評価は、ギラン・バレー症候群は1例を「可能性が否定できない」とし、アナフィラキシーは11例を「可能性あり」とした。

●妊婦への抗インフル薬「副作用は認められず」
 日本産科婦人科学会は妊婦や出生児に対する抗インフルエンザ薬の安全性調査の中間報告を取りまとめ、安全対策調査会に提出した。抗インフル薬を投与された妊婦163例のうち、タミフル投与が147例、リレンザ投与が15例、投与薬不明が1例だった。タミフルが投与された147例のうち17例で流産や軽度の新生児黄疸、早産、奇形などの報告があった。報告について、自然流産率や服薬時期などとの関係から「タミフルの影響は考えにくい」としている。リレンザが投与された15例では異常の報告はなかった。

 日本産科婦人科学会は中間報告の中で「今後さらに、多くの症例を集積し、2歳児までのフォローアップが必要」とした上で「現時点での妊婦インフルエンザ感染例に対するタミフル投与、リレンザ吸入につき特に制限を必要とするような副作用は認められなかった」とした。

●補正対象の3ワクチン「安全上、特段の懸念なし」
 会合で厚労省は、2010年度補正予算の「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金」の対象となっている▽子宮頸がん予防(HPV)ワクチン▽Hib(インフルエンザ菌b型)ワクチン▽小児用肺炎球菌ワクチン―の3ワクチンについて副反応状況を報告し、安全性について検討を求めた。販売開始以降の副反応報告では、HPVワクチン(累積推定接種者数40万人)は副反応報告81例、Hibワクチン(同140万人)は副反応報告44例、小児用肺炎球菌ワクチン(同70万人)は副反応報告42例だった。いずれも死亡例の報告はなく、安全対策調査会は「一定の副反応は見られるものの、安全上特段の懸念が示されるものではない」とした。

 HPVワクチン接種後副反応として失神や意識消失の報告があることについて、添付文書に接種後30分程度の観察が注意喚起されていることから「一層の注意喚起に努める」とした。(12/7MEDIFAXより)

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