子宮頸がん対策で意見交換/与党のワクチン予防議連  PDF

子宮頸がん対策で意見交換/与党のワクチン予防議連

 自民党と公明党のワクチン予防議連は2月5日、会合を開き、子宮頸がん対策をテーマに意見を交わした。年内にも承認見込みのHPVワクチンを公費で接種できるようにすべきという意見や、子宮頸がん検診を細胞診とHPV検査の併用方式にすべきといった意見が出された。同議連は20日に開く次回会合で、ワクチン行政の在り方や費用負担などについて検討し、2月下旬−3月初旬にも政策提言をまとめる。最終的には与党のマニフェストに反映させたい考え。

 講師として招かれた自治医科大付属さいたま医療センター産婦人科教授の今野良氏は、子宮頸がんを予防するHPVワクチンの予防効果や医療経済効果の試算結果を提示し、ワクチン接種に対する財政支援を求めた。

 今野氏によると、日本人12歳女児全員(約60万人)にHPVワクチンを接種した場合、子宮頸がんの発生数を73.1%、死亡数を73.2%削減できるという。その際に予想されるワクチン費用は約210億円。「ジェット戦闘機1機分の予算をワクチン費用に回せば、1学年女児の子宮頸がんリスクを大幅に低下できる」という。また、医療経済効果についても「医療費を約34%、労働損失を約73%削減できる。ワクチン費用を差し引いても約190億円の社会的損失を抑制できる」と指摘。さらに、接種率が高まるほど予防効果や医療経済効果も高まることや、10−45歳の年齢層では費用対効果が特に高いことなども指摘し、「ワクチン接種を保険制度に組み込んで接種率を上げるべき」と主張した。

 子宮頸がん検診については「HPV検査と細胞診を併用し、ともに陰性なら、3年間は子宮頸がんの発生リスクがほぼゼロになる」と指摘。精度が高く、受診間隔を延長できる可能性があるHPV検査と細胞診の併用を推奨すべきだとした。

 出席議員からは「日本が援助している発展途上国も含め、世界100カ国以上でHPVワクチンが使われているのに、援助している日本で使えないのはおかしい」といった声が上がった。また、厚生労働省の研究班がまとめた「子宮頸がん検診ガイドライン・ドラフト」で、HPV検査が推奨されていないことを踏まえ、「HPV検査の併用を推奨するよう政策提言に盛り込むべき」といった意見が出された。(2/6MEDIFAXより)

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