妊婦1人当たり公費負担額に7万円の差/厚労省、妊婦健診で調査
厚生労働省雇用均等・児童家庭局は6月3日、妊婦健診の公費負担の状況についての調査結果をまとめ、都道府県などに通知した。2009年4月1日時点の妊婦健診の公費負担回数は全国平均で13.96回で、08年4月時点の5.5回から大幅に増えた。一方、公費負担額は自治体によってばらつきがみられ、最大で7万円の格差があった。
調査は市区町村の妊婦健診の公費負担回数や負担額、実施する検査項目などを調べた。市区町村の妊婦1人当たりの公費負担額は、全国平均で8万5759円だった。都道府県別でみると山口の11万1127円が最も高く、徳島の10万8130円、青森の10万286円の順。最低額は大阪の3万9813円で、最高額の山口と比べ7万1314円の差があった。公費負担額の分布では「7万円以上−10万円未満」が全体の約8割を占めた。
公費負担回数の全国平均は13.96回で08年4月時点の5.5回から約2.5倍に増えた。公費負担を実施している市区町村の94.8%が14回実施していた。13回以下の市町村も25カ所あったが、うち15市区町村が09年度内に公費負担を14回に拡充する予定か検討中とした。
受診券方式で公費負担をしている1419市区町村のうち、国が例示する妊婦健診の標準的な検査項目すべてを実施しているのは42.0%だった。
厚労省は09年2月27日付の母子保健課長通知で、妊婦健診の受診回数は14回程度が望ましいとし、標準的な健診項目などを提示。08年度2次補正予算では「妊婦健診の公費負担の拡充」に790億円を計上。補正予算により、妊婦健診の公費負担回数を14回(約11万3000円)まで拡充することを見込んでいた。
公費負担の拡充では14回のうち5回分が地方財政措置、残る9回分が国庫負担と地方財政措置で2分の1ずつ補助する。地方財政措置分の使途は自治体の裁量で決まり国が指導することができないため、自治体によって公費負担額にばらつきがみられる格好だ。厚労省は「自治体の財政状況が公費負担額に影響している」(母子保健課)としている。(6/5MEDIFAXより)