大間の海を守ろう!フルMOX原子炉建設は破滅への道  PDF

大間の海を守ろう!フルMOX原子炉建設は破滅への道

 保団連は、11月23・24日に青森県・大間原子力発電所周辺の公害視察会を実施。38人が参加した。

 本州最北端・青森県下北郡大間町に電源開発(株)が建設中の大間原発は、世界にも例のないフルMOX−ABWR実証炉である。京都大学原子炉実験所の小出裕章氏曰く、「破滅への道。人間がやっていいことではない」。

 視察では、下北半島にあるさまざまな原子力施設(六ヶ所村の核燃サイクル施設など)を、核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団の山田清彦氏が案内した。

 厳しい寒風の中、大間原発を視察した後、大間原発に反対する会の奥本征雄事務局長から「大間原発を巡る経緯」について講演をきいた。

 1976年に大間町商工会が町議会に「原子力発電所新設に係わる環境調査」実施を請願。議会は採択したが、85年の大間、奥戸漁協臨時総会で、原発建設につながる原発調査対策委員会の設置は否決された。

 漁業が主力産業である大間町から、いかにして海を奪ったのか。電源開発は、反対している人の家に毎日通い続け、何年もかけて1人ずつ説得した。そうして、94年には、両漁協は補償金の受け入れを決定し、大間原発周辺で漁業を行う権利を放棄した。

 電源開発は海を手に入れた後、土地の買収を順調に進めていたが、熊谷あさ子氏(大間原発建設予定地の地権者)が「大間にはマグロやコンブがとれる宝の海がある」と買収を拒否し続け、電源開発は全敷地の2%を未買収のまま設置許可を申請することになった。

 2008年5月に大間原発は着工し、福島第一原発事故で中断するも、12年10月には再開されている。

 原発ができれば、町が潤うと思っていた。しかし、町からは昔ながらの風景は失われ、地域は崩壊し、人々のこころをも荒廃させたと述べた。

 その後、参加者一同で「大間原発の建設中止を求める」アピールを採択した。

 翌日は、フェリーで北海道・函館市に渡った。函館市は、大間原発の対岸に位置し、23しか離れていない。このため、函館では反対運動が活発に行われており、福島第一原発事故後は、工藤壽樹・函館市長も大間原発の無期限凍結を求める要請書に名を連ねている。

 函館では、大間原発訴訟の会代表の竹田とし子氏、道南勤労者医療協会理事長の堀口信氏に、これまでの活動をうかがった。

 また、地権者である熊谷氏が亡くなられた後、その遺志を継いだ小笠原厚子氏(熊谷氏の土地に建てたログハウス=あさこはうす代表)からも話をきいた。地元では反対を訴えることは難しく、地元の人ではない人が反対してくれるとうれしいと述べ、絶対建設を中止させたいと訴えた。

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