大野事件以降、刑事事件が激減/日医総研WP  PDF

大野事件以降、刑事事件が激減/日医総研WP

 日医総研はこのほど、「医療刑事裁判について」と題するワーキングペーパー(WP)をまとめ、公表した。2008年8月の福島県立大野病院事件の無罪判決以降、医療刑事事件数は激減したとし、医療事故に対する刑事処罰の困難さなどを論じた。

 08年9月1日から10年3月末日までの間に、業務上過失致死傷罪の被疑事実で起訴された医療行為に起因する刑事事件を対象に、新聞記事検索サービスを利用して調べた。結果、正式に起訴された事案が1件、略式起訴された事案が2件だった。

 多数の不起訴処分の報道が見られたとし「県立大野病院事件判決以前は略式起訴されていた事案が、同判決以降は、不起訴処分とされていることに注目されたい」とした。検察庁の処理方針については「県立大野病院の無罪判決の前後で検察庁の取り扱いは異なっているように思われる」と考察した。

 医療事故に対する刑事処罰については「応召義務がある一方で医療は不確実である」「従うべき規範が明確に示されない」「治療困難な患者に対しても医療が必要である」などの理由から「刑法の責任主義と相いれない面がある上、訴訟法上合理的な疑いをいれない程度に立証することは困難」とした。(6/18MEDIFAXより)

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