大転換迫られる医療提供体制 医療への「安心」守ろう!  PDF

大転換迫られる医療提供体制 医療への「安心」守ろう!

 7月27日に第67回定期総会が開かれ、今年度の京都府保険医協会の活動方針が承認された。この活動方針を基に、国民皆保険制度を守り、医療保障拡充を求めていく運動を進めていかなければならない。

 6月18日に「医療・介護総合確保法」が成立した。十分な審議もされず、また、介護保険サービス利用料の2割負担化に関してはその根拠となる資料の誤りが指摘され、これを厚労相が認め、国会の場で撤回したにもかかわらず、19もの法案が一括に成立されたのである。今後の具体化に対し地域の医師として監視、対応を務める必要がある。

 医療・介護提供体制改革の中で、「川上」の改革として10月から「病床機能報告制度」が施行される。これは有床診療所も含め病院が現在、高度急性期・急性期・回復期・慢性期のどの機能を担っているか、そして今後どういった機能を担おうと考えているかを都道府県に届け出る制度である。この届出を基に都道府県は医療・介護の提供体制の方向性を決める「地域医療構想(ビジョン)」を策定して病床の機能別の必要量に近づくように提供体制を構築していく。この目的は病床の削減と平均在院日数の短縮である。

 4月の診療報酬改定においても「川上」の改革として患者を入院医療機関から地域・在宅へ返すよう診療報酬での誘導を行った。具体的には7対1看護基準病床において、平均在院日数の算定要件のハードルを上げ、また確実な在宅復帰の要件化などで7対1看護基準病床を絞り込み、要件を満たせない病院は地域包括ケア病床や回復期リハ病床、または療養病床などへの転換を強いられる事態になっている。これらの問題は病院だけの問題ではない。「川上」の改革で押し流された患者は「川下」である地域へと移ってくる。しかし、「川下」の受け皿が十分に整備されているとはいえない。今後、地域の病院機能の変化によって、病診連携に変化が出たり、早期の退院等で診療所の外来診療や在宅での医療が大きく変わっていく可能性もある。

 こういった影響を一番大きく受けるのが患者である。必要で十分な入院医療を受け地域・在宅に戻る。患者にとって安心で安全な医療を守っていくことが必要である。

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