大胆な改革、実現に向け「工程表」策定へ/国民会議が最終報告書
社会保障国民会議は11月4日、最終報告書を取りまとめた(資料2)。6月の中間報告以降、サービス保障分科会がまとめた2025年の医療・介護費用推計などを踏まえ、在るべき医療・介護の姿の実現に向けた工程表を明示する必要性を指摘した。会議に出席した麻生太郎首相は吉川座長や3分科会の座長に対し、引き続き工程表策定に参加するよう協力を求めた。工程表の策定作業は、社会保障・税財政改革の中期プログラムの策定作業と並行して、新たに立ち上げる懇談会などで進め、年内をめどに取りまとめる方針だ。
報告書では、費用推計の「背景にある哲学」として、機能分化や急性期医療を中心とした人的・物的資源の集中投入、入院期間の短縮化と在宅医療・介護の大幅な充実などにより、「利用者・患者のQOLの向上を目指すもの」と強調。この哲学に基づいた提供体制が実現されれば「現在の医療・介護とは格段に異なる質の高いサービスが効率的に提供できることになる」とした。
改革実現に向けた課題として、(1)サービス供給体制の計画的整備、(2)専門職種間の役割分担に関する制度の見直し、(3)診療報酬・介護報酬体系の見直し、(4)マンパワーの計画的養成・確保、(5)サービス提供者間・多職種間の連携・ネットワークの構築、(6)サービスの質の評価―などを挙げ、「相当大胆な改革が必要」と指摘。「実現されるサービスの姿を分かりやすく国民に示し、一つひとつ確実に実現していくことが必要」と求めている。
医療・介護の改革に年金や少子化対策などを加えた場合、基礎年金を社会保険方式とすると、追加的に必要な公費負担は消費税率換算で15年に3.3−3.5%、25年に6%程度になる。税方式の場合は15年に6−11%、25年に9−13%となる。25年時点の医療・介護に関する保険料負担については、現在との比較で対GDP比1.5−1.7%の引き上げが必要になるとした。高齢化などにより「負担の増加が避けられない」とした上で、安定財源の確保に向けた改革に真剣に取り組むよう求めている。さらに、国民レベルで給付と負担を分かりやすく示すために社会保障番号制の検討についても必要性を指摘している。(11/5MEDIFAXより)