大学病院の医療費増、外来化学療法が影響/東京大病院が分析
厚生労働省の「最近の医療費の動向(メディアス)」で大学病院の医療費の伸び率が目立っている要因について、外来化学療法を受ける患者の増加が影響しているとの分析結果を東京大病院がまとめた。
東京大病院は、大学病院の医療費の伸びが注目されていることに対して「診療収入は増えているが、診療経費も並行して増えている。収入だけの側面から議論を展開されるのは国民に誤解を与えかねない」として、42の国立大学病院のデータから分析した。
2007年4−9月と診療報酬改定後の08年4−9月を比較したところ、全病院の外来患者数は744万2000人から758万7000人に14万5000人増加していた。それに伴い外来診療費用の請求額も、806億円から865億円に増加。外来単価は1万837円から1万1401円に増えていた。
国立大学病院の外来患者数が増加した要因について東京大病院は、(1)DPC導入後、平均在院日数の短縮によって、退院後のフォローを外来で行うことが定着してきた、(2)地域の医療機関の医師不足によって大学病院に患者が集中している─などを挙げた。
外来化学療法加算の算定件数は、07年4−9月の5万1264件に対して、08年4−9月は6万1489件と約1万件増加しており、同加算による診療収入も8200万円の増収となっている。外来化学療法の実施患者は東京大病院でも07年4−9月と08年4−9月の比較で1300人増加した。
さらに、がん患者に対するがん化学療法製剤の請求件数(注射用エンドキサン、ハーセプチン注射用、リツキサン注)は07年4−9月と08年4−9月の比較で、3万325件から3万6747件に6000件余り増加。請求金額で見ると、10億8200万円から13億円に約2億円増えている。
東京大病院によると、外来化学療法患者の増加に対応するため国立大学病院では、薬剤師の新規配置や看護師の増員など、医療安全の確保に取り組む体制整備を並行して進めているという。(2/2MEDIFAXより)