多発性硬化症治療薬フィンゴリモド塩酸塩など了承/第一部会
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は8月26日、田辺三菱製薬/ノバルティス ファーマの多発性硬化症治療薬「イムセラカプセル0.5? /ジレニアカプセル0.5?」(一般名=フィンゴリモド塩酸塩)の製造販売承認の可否などを審議し、いずれも了承した。
同剤は、スフィンゴシン 1−リン酸受容体調節剤と呼ばれる新しい作用機序を持つ。リンパ球をリンパ節に閉じ込めることで、神経炎症をもたらすリンパ球の中枢神経系への浸潤を阻止し、多発性硬化症に伴う炎症を抑制する。類薬はない。多発性硬化症に対する同効薬にはインターフェロンベータ−1bがある。希少疾病用医薬品。市販直後調査と全例調査が承認条件。2011年6月現在で欧米を含む45の国・地域で承認済み。
ベネシスの液状・静注用人免疫グロブリン製剤「献血ヴェノグロブリンIH5%静注0.5g/10mL」「同IH5%静注1g/20mL」「同IH5%静注2.5g/50mL」「同IH5%静注5g/100mL」(一般名=ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン)は、全身型重症筋無力症の適応追加を審議し、了承された。11年6月現在で同効能での承認は世界初。全例調査が付いた。
中外製薬のペグインターフェロン製剤「ペガシス皮下注90μg」「同皮下注180μg」(ペグインターフェロン アルファ−2a〈遺伝子組換え〉)は、B型慢性活動性肝炎を効能・効果とする新効能と新用量が了承された。HBe抗原陰性の患者にも使用できるのが特徴。11年6月現在で欧米など110カ国以上で承認済み。
●シタグリプチンのインスリン併用が了承
報告品目では、小野薬品工業/MSDの経口2型糖尿病治療薬「グラクティブ錠25?、同錠50?、同錠100? /ジャヌビア錠25?、同錠50?、同錠100?」(シタグリプチンリン酸塩水和物)について、インスリン製剤との併用に関する適応追加を了承した。インスリン製剤との併用が認められるのはDPP−4阻害剤では初めて。
ヤンセンファーマの抗精神病薬「コンサータ錠18?」「同錠27?」(メチルフェニデート塩酸塩)は、患者が18歳になった以降も継続使用する場合には治療上の有益性と危険性を考慮し慎重投与を認めることが報告された。現行の効能・効果は「小児期における注意欠陥/多動性障害」で18歳以上は対象外だが、使用成績調査の結果、継続使用の実態があるという。現在、成人を対象とした治験が実施されている。日本イーライリリーの「ストラテラ」と同様の対応となる。(8/31MEDIFAXより)