外来管理加算、見直しの影響は748億円/日医のアンケート調査
日本医師会の藤原淳常任理事は1月14日の定例会見で、日医が調査し、同日の中医協へ提出した「外来管理加算に関するアンケート調査」の結果速報(要約)について説明した。藤原常任理事は、外来管理加算の「5分要件」や点数の見直しによる影響額が、当初見込みの240億円を大幅に上回る748億円の減収になったと説明。また算定要件を不適切と考える医療機関のうち、6割以上が時間で判断することを問題視していることを明らかにした。その上で「診療所の経営は急速に悪化している」と強調し、2010年度次期診療報酬改定を待たずに「5分要件」の撤廃など「期中改定」を行うよう、あらためて求めた。
アンケート調査は、08年度改定で行われた外来管理加算の見直しが医療現場にどのような影響を与えたかを把握するため、08年4月−9月の実態を11月に調査した。日医会員の医療機関の中から4342件(診療所3843施設、病院499施設)に調査を依頼し、1972件(診療所1744施設、病院226施設、無回答2施設)から回答を得た。回答率は45.4%。
調査結果によると、外来管理加算を算定したことがある医療機関のうち、「5分要件」を満たさないため算定患者数が減少したのは43.7%(診療所42.1%、 病院56.4%)、算定をやめたのは4.1%(診療所4.5%、 病院0.9%)で、 合わせて47.8%(診療所46.6%、 病院57.3%)が「5分要件」により負の影響を受けた。
また、外来管理加算を算定する医療機関のうち、時間の計測が診療上の負担になっているとの回答が29.8% (診療所27.6%、病院45.6%)あったほか、待ち時間や説明時間が長くなったという患者の声が増えたと回答した医療機関が3割弱あった。現在の外来管理加算の算定要件を適切ではないと答えたのは74.9%(診療所74.9%、病院74.8%)で、時間で判断することを理由に挙げたのは62.8%(診療所62.7%、 病院63.3%)に上った。藤原常任理事は調査結果から「厚生労働省が当初見込みとして示した240億円を大幅に上回る結果が出ており、診療所の経営は急速に悪化している」と指摘。TKC全国会の医業経営指標でも、08年46月の診療所の損益分岐点は前年同期の96.2%から98.9%に悪化しているとし、「診療所は経営上、割と小回りが効くが、これは相当危機的な状況だ」と説明した。
その上で、同日の中医協でも時間要件の撤廃など「期中改定」を求めたことを説明。「期中改定」の実現性については「中医協の検証部会の結果次第。われわれやTKC全国会の調査結果を信頼していただければ、十分に(データは)そろっている」と述べた。(1/15MEDIFAXより)