外来放射線、診察頻度で緩和案/放射線腫瘍学会、新ルール検討  PDF

外来放射線、診察頻度で緩和案/放射線腫瘍学会、新ルール検討

 日本放射線腫瘍学会は、外来での放射線治療の患者に対する医師の診察は「週1回以上」でもよいとする新ルールの検討を進めている。「無診察診療」は医師法によって禁止されており、現行ルールでは連日照射する放射線治療のたびに医師(放射線治療医など)の診察が必要となる。同学会の根本建二理事(山形大医学部教授)は7月19日、本紙の取材に対し、次期診療報酬改定に向けて新ルールを要望していく考えを明らかにした。医師の診察頻度の緩和をめぐっては、外来リハビリテーションについても毎回の医師による診察は必ずしも必要ないとの要望が病院団体などから出ている。

 根本理事によると、放射線治療患者数は今後10年以内に38万人を超えると予測されているが、日本の医療現場は患者数の急速な増加に対応できるだけの放射線専任医師数が確保できていない。根本理事は「放射線治療医は一日中、再診の照射患者の診察に忙殺され、放射線治療を必要としている新規患者の受け入れが大幅に遅延している」と問題提起する。米国、カナダ、英国、オーストラリアなど諸外国では、週1回の医師の診察で放射線照射治療が行われているのが実態という。

 こうした諸外国の現状も踏まえ同学会は、治療方法や予想される合併症とその時期などを患者に説明して同意を得ることを前提に、医師の診察は週1回以上でもよいとするルールを求める考えだ。安全性を確保するため、放射線治療専従の看護師と診療放射線技師の配置を義務付けることも想定しており、チーム医療で対応できる仕組みを求めていく。

 放射線治療医が常勤している病院については、患者の希望があればいつでも放射線治療医の診察を受けることができる体制を確保。放射線治療医の常勤医がいない場合は、放射線治療医が常勤している近隣施設と連携体制を結ぶことで、患者の安全性とニーズを担保する仕組みを検討している。根本理事によると、すでに患者団体(市民のためのがん治療の会)からもおおむね理解が得られているという。

●新たな管理料の設定などが検討課題
 新ルール下での診療報酬体系は、新たな管理料の設定も含めて、今後の理事会での検討課題になる。根本理事は「連日の医師の診察を行うとする病院もあるため、現行の算定方法と包括算定のいずれかを選択できるようにすることで、現場の混乱を回避できるのではないか」としている。(7/20MEDIFAXより)

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