売り出し狙う危険な民間保険 金融庁に強く撤回求める
金融庁が保険商品の現物給付の事実上の解禁に向け動き出している。それは「直接支払い」という保険金のサービス提供事業者への支払い変更という方法である。保険会社の提携する事業者(医療機関や介護施設)で受けるサービスについて、保険外負担分や定率負担分を保険会社が事業者に支払うことで、利用者の窓口での負担を不要とするもの。こうした「保険商品」の現物給付は米国で実際に行われている。「マネジドケア」とよばれる米国の医療は、医師と患者の間で決定すべき医療行為に保険会社がその治療や薬の内容にまで具体的に立ち入って管理し、制限することで医療費の抑制を図るもので、批判が多い。
また、民間保険の市場拡大のために公的保険が切り崩されていくことも懸念される。公的な保障を狭めて、民間保険を持っていないと受けられない医療が増えていくことは、世界に冠たる国民皆保険が壊されていくことを意味する。
金融庁は、6月に公表する「報告書」に盛り込めば、法律の解釈運用で可能とし、改めての商品認可は不要だとしている。
これに対し、保団連は国民皆保険の形骸化を進めるものとして金融庁に撤回を求めている。
京都協会もこれに呼応して5月21日、「保険商品の事実上の現物給付(=直接支払い)解禁の撤回を求める」要請を麻生太郎内閣府特命担当大臣(金融)に送付した。