基本診療料のコスト分析、可能性模索/中医協総会
中医協(会長=遠藤久夫・学習院大教授)は9月29日の総会で、2012年度診療報酬改定に向けて優先的に議論すべきとした「基本診療料」の議論を本格的に始めた。診療側は?基本診療料で評価されている各種コストを整理・明確化する?医療機関のコスト調査分科会の調査結果を再集計し、基本診療料に含まれるコストの具体的な金額の内訳を明確化する─などを求めた。支払い側は激しく反発し、どのようなコスト分析が可能かコスト調査分科会の意見を求めることになった。
診療側はこの日、コスト分析に関する7人連名の文書を提出し、西澤寛俊委員(全日本病院協会長)が読み上げた。コスト調査分科会で実施している部門別収支調査とは別に、医療提供に関する標準的な各種の必要コストの調査を行い、それらを積み上げることで、コストを適正に反映した診療報酬体系の構築を目指すことが必要と主張した。これに対し、白川修二委員(健保連専務理事)は「コストをすべて診療報酬項目に当てはめて調べることはどうしても理解できない。診療報酬の考え方を根底からひっくり返すことではないか」と反発。事務局の厚生労働省保険局医療課も、コストの整理・明確化は「困難」との見解を示した。
これを受け西澤委員は「コスト分析の可否をコスト調査分科会に投げてほしい」と主張。白川委員も同意した。さらに診療側が文書の中で主張した「諸外国の診療報酬での各種コストの評価方法の調査」については、医療課が努力する意向を示した。
●簡素化は一致
一方、支払い側が主張した診療報酬体系の簡素化の議論は進めることで一致した。白川委員は「加算が多すぎて、入院したときの支払い額が違うことがわれわれの一番分からないところ。患者が分かりやすい診療報酬体系の構築を優先すべきでは」と主張。診療側も同意し、診療報酬体系の簡素化に関する議論を進めることにした。
この日の総会ではこのほか、医療課が初・再診料、外来診療料、入院基本料などに関する評価の変遷や、それぞれに算定できる各種の加算、入院・外来別の医療費動向についてまとめた資料を提示した。診療側は、外来医療費の各診療報酬項目を「技術の評価」「モノの評価」「混在」などに大別したデータや、外来医療費に占める再診料の過去からの変遷を示す資料を提示するよう求めた。支払い側からは、入院料への加算の算定回数に関するデータを示すよう求める意見があった。(9/30MEDIFAXより)