基本診療料など優先検討/12年度改定へ中医協
中医協(会長=遠藤久夫・学習院大教授)は9月8日の総会で、2012年度診療報酬改定に向けて初・再診料や外来管理加算、入院基本料を含む「基本診療料」などを優先して議論することで合意した。ただ、具体的な議論の方向性として、診療側は基本診療料に含まれるコスト分析調査の必要性を訴えたのに対し、支払い側は「手間がかかるし、正確な数値は把握できない」と反発。次回以降、診療側が調査の目的や具体的な手法を示すことにした。
●「医療と介護の連携」「勤務医の負担軽減」も
事務局の厚生労働省保険局医療課はこの日の総会で、これまでに診療側、支払い側双方から提出されていた次期改定に向けた検討課題を再整理して示すとともに、双方とも「優先すべき」としていた「基本診療料」のほか、支払い側が求めていた「医療と介護の連携(訪問看護、慢性期入院医療)」、診療側が求めていた「勤務医の負担軽減」の3点を優先課題に挙げた。中医協・診療報酬改定結果検証部会の検証結果がまとまる11年春までに議論を進める方針を示し、了承された。
「基本診療料」について、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は「10年度改定でも初・再診料や外来管理加算などは、要素がはっきりしないために財源論に埋没してしまった。オペレーティングコストやキャピタルコストの積み上げの試算をして、(基本診療料が)何への対価か、そのベースにあるのは何かを明確にしたい。積み上げた試算をそのまま(診療報酬として)欲しいと主張するつもりはない」とし、コスト調査の必要性を訴えた。
これに対し白川修二委員(健保連専務理事)は、コスト調査にかかる手間などを指摘し「経費の中で基本診療料がどういう比重であるべきかや、入院に対する各種の加算と入院基本料の関係性などを議論すべき」と主張した。
遠藤会長も「コスト調査の目的とどのような調査をするのか、診療側でまとめた上で示してほしい」と診療側に要請し、診療側が同意した。
●介護関係部局からヒアリングも
ほかの優先課題のうち、「医療と介護の連携」については、検証部会などの調査や検討に合わせて議論するほか、社会保障審議会の介護保険部会と医療保険部会の担当課から、議論の進捗状況についてヒアリングをする。「勤務医の負担軽減」については、11年度に実施する検証部会の調査のほか、関係学会などでの調査も含めて検討する。(9/9MEDIFAXより)