基本診療料、在り方の議論スタート/中医協・基本問題小委
2008年度診療報酬改定の付帯意見に盛り込まれていた基本診療料に関する議論が、4月15日の中医協・診療報酬基本問題小委員会でスタートした。厚生労働省は現状の基本診療料の内容を大まかにまとめた資料を提示。本格的な議論にまでは進まなかったが、診療側委員からは、外来管理加算の見直しに向けた議論を求める意見や、コストを反映した入院基本料への見直しを求める意見が上がった。
そして、22日には本格的な議論に入った。藤原淳委員(日本医師会常任理事)は、中医協・診療報酬改定結果検証部会が実施した特別調査の結果を踏まえて、診療所の影響額が804億円に達するとの試算を示し「当初見込みを大きく上回る。現場の声を反映して(5分ルール撤廃の)見直しを提案する」と主張した。これに対し、厚労省側は、個別項目の影響額は秋までにまとめる社会医療診療行為別調査の結果を待つ必要があると指摘。支払い側委員も「基本診療料全体の議論の中で、外来管理加算の位置付けを考えるべきだ」と訴えた。
藤原委員は特別調査の結果について(1)患者の6割が時間の目安は必要ないと感じている(2)医師からの説明は9割近くの患者が『変わらない』と答えており、従来、丁寧な説明をしていた(3)現場医師は時間要件を負担に感じている―などとし、「5分という時間要件にこだわるのは実態に即しているのか」と早急な見直しを主張した。
影響額が見込みを上回るとの指摘に対し、厚労省保険局医療課の佐藤敏信課長は「個別の影響額は社会医療診療行為別調査の結果が出ないと、現段階で示すことのできる数値はない」と答えた。また、対馬忠明委員(健保連専務理事)は「当初の影響額として示した240億円は高齢者を除いた若人の数値。(日医などが示す試算とは)対象範囲が違う」と主張し、厚労省側も「若人部分と高齢者部分とで分けて、若人部分で240億円と試算した」と説明した。
さらに、小島茂委員(連合総合政策局長)は「議論の進め方として、外来管理加算だけを取り出すよりも、基本診療料全体の中での位置付けを踏まえて影響額を議論すべきでは」と述べた。しかし、藤原委員は「現場では大変な混乱と疲弊をもたらしている。議論とは多少外れることは承知しているが、これほど当初試算との間に狂いが生じると、現場の声を伝えざるを得ない」と主張。「240億円」に高齢者分の影響額が含まれていないとの厚労省の説明については、仮に高齢者分を差し引いても当初見込みを大きく上回ることに変わりはないとし、早期見直しを求める姿勢は譲らなかった。(4/23MEDIFAXより)