基本的な診療行為の正当な評価を
専門医会長との懇談会開催
協会は専門医会長との懇談会を6月9日に開催。専門医会から12人、協会から8人が出席した。?社会保険研究会、診療内容向上会の開催について、?2012年診療報酬改定対策及び改定の特徴について、担当理事が説明。各医会からは今次改定への評価と今後の対策、要望について意見を聞いた。
(内科)一般名処方加算は、処方される後発品について医師が関与できない。後発医薬品使用促進に安ければ良いとする考え方があるとすれば、医療者の哲学を踏みにじることである。
(胸部)肺機能検査の点数が上がったことは評価できる。COPD患者への食事や排泄の支援や、ウイルス感染症を予防するための起床後すぐの歯磨きの奨励など、一見何でもない生活支援も大切なので取り組んでほしい。
(小児科)時間外対応加算を算定している医療機関はほとんどない。屋内禁煙の規定は小児科では当然のこと。また、消費税問題に協会としてどのように対応するのか、繰り返し報道してほしい。
(外科)鏡視下の手術で算定できるものが増えたが、大病院向け。開業医は、浅い傷で麻酔をかけて一生懸命きれいに縫っても470点。こういう基礎的な点数を見直してほしい。
(産婦人科)再診料は上がらない、婦人科は慢性疾患の指導料が何も算定できない、内診が必須なので女性看護師の配置が必要。これらの評価を求める。
(眼科)白内障手術では材料代は点数に含まれ、眼内レンズだけで3〜4万円。その消費税負担もある。その他ではメガネ合わせの検査。人手も時間もかかるのに評価は低い。こういった部分も是非考えてほしい。
(耳鼻咽喉科)検査点数が下がっている。検査の要点は、検査結果を読みどう対応するかということ。単に実施がコンピュータ化されて簡便化したからといって点数を下げることは、専門医の立場から言えば遺憾だ。
(整形外科)鍼灸・マッサージに対する療養費同意書交付の留意事項については、会員への周知徹底を求める。特に接骨院においては、慢性の疾患の保険請求がなされている。こういった実態があることはおかしい。
(形成外科)診療所で行う処置については据え置かれたままだ。また、皮膚欠損用創傷被覆材は保険診療で認められる期間が限られていて、期限を過ぎれば持ち出しになる。これには大変困っている。
(糖尿病)在宅自己注射指導管理料の加算に複雑な場合の区分が新設された。これによって、これまで赤字だった複雑な場合の機器リース料が賄えるようになるはずだった。しかし、同時にリース料が値上げされる事態となっており、結局保険点数が上がり患者負担も増加したが、そのすべてがリース会社の収益となっている。
(透析)オンラインHDFが包括点数になり、使用する薬剤が多いと収支はマイナスとなる。このように年々包括化と点数引き下げが進んでいる。一方で患者さんの高年齢化が進んでいて、通院や体調管理など透析以外の部分での支援も必要になっている。
(循環器)技術料の評価の低さは常々感じている。外来看護師、事務員の配置やコンピュータの整備についても医療機関に負担が押し付けられており、しっかりと訴えていかなければならない。消費税も心配だ。
協会からは、医師の技術料、特に基本診療料の評価については「初・再診料に関するアンケート」を実施し、保団連でも全国調査の準備を進めている。今後の要求にはコスト分析に基づいた根拠が必要と考えている。
消費税については診療報酬に上乗せてしている分を返上することも考えられる。その上で、購入に要した消費税負担分は還付してもらう、いわゆるゼロ税率の実現を要求する。消費税増税そのものも看過できない問題だが、こういった機会だからこそ、制度を大きく変更することも可能であり、提言は続けていきたいと答えた。
本日各専門医会からいただいた意見・要望を基にして、今後の改善運動に活かしていきたいと伝え、懇談会を終了した。
専門医会長との懇談会