地域発…西京/第1回認知症区民公開講座開く
11月14日、京都市西文化会館ウエスティホールにおいて西京区民を対象に「第1回認知症区民公開講座」が開催された。主催は西京区認知症地域ケア協議会、西京医師会。参加人数は260人であった。
ウエスティホールで開かれた第1回認知症区民公開講座
冒頭、西京区認知症地域ケア協議会会長である西京医師会会長の谷村仲一氏から開会の挨拶が行われ、また西京区長の古川幸隆氏、西京区自治連合会会長および西京区社会福祉協議会会長の菊池潤治氏から開催への祝辞が述べられた。その後、西京医師会の土井たかし氏の進行で、一般演題として西京区役所福祉部長の北村至都子氏が「行政の認知症に対する取り組みについて」、西京医師会の塚本忠司氏が「西京区認知症地域ケア協議会における早期診断から経過観察の流れについて」と題して講演した。
北村氏は最近の認知症への取り組みの変化を報告。実際の介護の問題、認知症の方の意思決定に対する援助、認知症の方を介護する家族に対する援助、認知症への認識の普及を柱として取り組みを行っていることを解説された。また介護保険以外で京都市が提供できるサービスとして、徘徊をする認知症の方に小型の発信器を持たせ、迷子のときに場所の特定を行う「徘徊高齢者安心サービス」などを紹介した。
チェックリスト作成し相談医を設置
塚本氏は、西京区認知症地域ケア協議会は、認知症となっても安心して暮らせる西京区を目指して、行政・医療・介護・家族会などの関係者の連携の場として発足したこと、その中で医療者がどのような役割を果たすかについて解説した。
西京区では区民に配布する認知症チェックリストを作成し、疑わしい場合にすぐ相談できるよう「もの忘れ相談医」を設置。医院では相談に応じながら、正確な診断を下すために二次診断協力医療機関を紹介する。診断が確定後は、かかりつけ医あるいは相談医が経過観察を行うという流れになる。また徘徊や暴力などの周辺症状が出てきた場合に対応できるよう西京区の精神科等に周辺症状相談医をお願いしている。入院が必要な場合も協力医療機関を配置。「この協議会のネットワークを区民の方も一緒になって育てていただき、西京区全体で認知症になっても安心して暮らせる街をつくっていきたい」と述べた。
西京区民に配布している認知症チェックリスト
まずは認知症を知ることから
特別講演では認知症介護研究研修東京センター、センター長の本間昭氏が「認知症ってどんな病気?」と題して講演。
医院に相談するためには、まず認知症を知ることが必要。早期に診断ができれば本人に病気の説明ができ、また内科・外科的治療の可能性が出てくる。原因がアルツハイマー病なら抗認知症薬で進行を遅らせることができ、結果在宅の期間を長くすることができる。また、認知症になる原因も症状も様々で、周囲の環境や本人の身体疾患、心理状態でも変化するということを知っていただきたい。医院のほうでも本人あるいは家族からの相談を受けた際には、なにを確認するべきかという一定のチェック項目を設けるべき。また、研修会などで相談医の共通の認識とすることが重要である。「達成までには時間がかかるかもしれないが、達成できれば強固なネットワークとなるので、ぜひ成功させてほしい」と述べた。
公開講座の最後には、西京区認知症地域ケア協議会代表世話人である西京医師会の北村裕展氏が「早期に発見して、早期に治療すれば認知症の進行は遅らせることができ、また地域の重要性を再度確信できた。まだまだ立ち上がったばかりの協議会だが連携を深め、この地区に住みたいと思われる西京区にしたい」と述べ、閉会の挨拶とされた。