地域医療再生へ「基金」、医師派遣システム強化/経済再生戦略
自民党の日本経済再生戦略会議が3月30日にまとめた「戦略プログラムを牽引する主要10施策と達成目標」では、地域医療の再生に向けて、2次医療圏を基本に新たに「地域医療再生計画」を策定することなどを柱とした「健康長寿の質の高い生活コミュニティの形成」も盛り込んだ。地域医療再生のために「基金」を設置し、施設整備、医師派遣システムの強化による医師不足解消などの取り組みを強力に支援する。
中間報告では、地域医療の現状について、医療機能が細切れで医師の専門性が発揮できず、処遇面の課題なども相まって地域での医師不足が深刻化していると分析。結果として、住民が満足なサービスを受けられていないと指摘した。 その上で、新たに地域医療再生計画を策定し基金も創設するとした。基金は、大学病院など基幹病院に対し、奨学金の設定や寄付講座を支援するほか、地域の病院に対しては、産科の強化などに協力することで、患者の安心につなげるという構想。
また、3年以内に医師事務作業補助者2万人規模の雇用創出も検討。こうした取り組みを通じ、医療分野で3年間で18万人、2025年時点で最大1112万人の雇用創出を図るとした。
一方、介護分野では、施設の入居待ちが大量に存在するほか、療養病床廃止に伴う受け皿づくりの必要性を指摘。さらに、他産業と比較して低水準の賃金体系で、能力や実績に応じたキャリアパスが見えづらいなどの課題を列挙した。
その上で、介護拠点を3年間前倒して集中的に整備するほか、処遇改善に向けた緊急措置と介護職員のキャリアパスを提示するとした。こうした対策を通じて、12年度の介護報酬改定時に「キャリアアップに対応した介護報酬体系を構築」するとした。3年間で30万人の雇用創出を目指すほか、入居待機者解消にも取り組む。
また、3年以内に医療機関・薬局のレセプトオンライン化を実現するほか、3年以内をめどに社会保障カードを導入するとした。
このほか、全国民分の新型インフルエンザワクチンの開発・生産期間を半年に大幅短縮する体制を5年以内に整備する目標も盛り込んだ。(3/31MEDIFAXより)