地域包括ケアの推進が柱/老人保健福祉関係の概算要求
厚生労働省は2011年度老人保健福祉関係予算の概算要求として、長妻昭厚生労働相が介護サービスとして位置付ける方針を示している、デイサービスセンターを活用した家族介護者支援(レスパイトケア)や、24時間地域巡回型訪問サービスの推進に向けた新規事業を「特別枠」に盛り込んだ。全体として「地域包括ケア」の推進を図る内容となった。
●レスパイトケア、1床当たり100万−150万円助成
レスパイトケアの推進に向け、デイサービスセンターなどで利用者の一時的な宿泊を受け入れる「お泊まりデイサービス」の基盤整備に100億円を計上。スプリンクラーや火災警報装置の設置など、事業所の受け入れ体制整備にかかる経費を助成する。全国で8000床の整備を目指し、現時点で1床につき100万−150万円程度の助成を想定している。
●「24時間巡回型」に28億円
制度化に向けた検討を進めている「24時間地域巡回型訪問サービス」について、12年度の制度改正に先駆けて実施する事業などに28億円を計上。全国100事業所で実施する予定で、人件費などの事業費を1事業所につき2000万円程度、助成する考えだ。
●特養のユニット化改修に助成
「地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金(ハード交付金)」には250億円を計上した。11年度は新たに「認知症高齢者グループホーム等防災補強等支援事業」(80億円)を項目に追加。既存の地域密着型施設が、老朽化に伴う修繕や、防災対策に必要な補強改修などを行う際の経費を助成する。既存の特別養護老人ホームなどをユニット化改修する際の費用も補助対象となる。単価は今後、予算要求を行う中で詰める。
●介護ロボに1.7億円
このほか新規事業として、「介護保険総合データベース構築等事業」に5000万円を計上。被保険者の要介護認定データと、介護保険サービスの利用状況データなどについて関連を分析し、介護保険制度の見直しや介護報酬改定に活用するためのデータベースを構築する。福祉用具や介護ロボットの実用化支援には1.7億円を計上した。
●老人保健福祉全体で2兆3202億円
老人保健福祉関係全体では、前年度予算額から1236億円増の2兆3202億円を計上した。老健局計上分は、前年度から931億円増の1兆8716億円。(8/30MEDIFAXより)