地域・診療科での医師偏在、浮き彫りに/
07年施設調査・病院報告
2007年10月1日現在で、全国の病院の医師数(常勤換算) は18万3828.3人と、前年に比べて1.5%増加していることが、厚生労働省大臣官房統計情報部が12月2日に発表した07年の「医療施設(動態) 調査・病院報告の概況」で分かった。都道府県別では、都市部で大幅に増加する一方、地方を中心に14県で減少。「小児科」「産婦人科」を標榜する施設数の減少も続いていることが分かり、医師数の地域間・診療科間の格差があらためて浮き彫りになった。
医療施設(動態) 調査は、毎年10月1日から1年間、全国の医療施設の分布や整備実態、診療機能などを調べている。今回は06年10月1日から1年間の医療施設の動向を集計した。一方、病院報告は、全国の病院や療養病床を持つ診療所について、患者の利用状況や従事者の動向を把握することが目的で、患者の状況は07年1月1日から1年間、従事者は07年10月1日現在の状況をまとめた。
病院報告によると、全国の病院の常勤換算医師数は、前年比2637.5人増の18万3828.3人。このうち常勤の医師は14万7472人で、同1659人(1.1%) 増加した。
常勤医換算医師数の増減を都道府県別に見ると大阪(同346.7人増)、東京(同340.4人増)、埼玉(同256人増)、千葉(同197.3人増)、京都(同136.6人増)などで大きく増加。一方、茨城(同55.7人減)、鹿児島(同52.4人減)、鳥取(同32.6人減)、島根(同24.2人減)、岩手(同22.5人減) など14県で減少した。
医師の偏在は地域間だけにとどまらない。
医療施設(動態) 調査によると07年10月1日現在で「小児科」を標榜する一般病院は、前年と比べて60施設(2%) 減の3015施設。「産婦人科」を標榜する一般病院も39施設(2.8%) 減り1344施設となった。ともに1994年から減少を続けている。「神経内科」(42施設増)、「リウマチ科」(34施設増)、「形成外科」(27施設増)、「婦人科」(27施設増) などは増加傾向にあり、統計情報部は「特定の地域、特定の診療科に医師が偏在する傾向も続いている」と分析している。
療養病床を持つ病院は、前年比108施設減の4135施設。一般診療所も同284施設減と大きく減少し、1887施設となった。病床数も病院・一般診療所計36万2393床となり、9421床減少。いずれも政府が療養病床再編の方針を決定して以降、2年連続で減少しており、統計情報部は「療養病床再編の影響が出てきているのではないか」としている。
医療施設(動態) 調査によると、全国の医療施設は17万6192施設で前年に比べて1248施設増加した。このうち、病院は8862施設で81施設(0.9%) 減少したが、一般診療所は9万9532施設で923施設増加。精神科病院も4施設(0.4%) 増えて1076施設となった。(12/3MEDIFAXより)