地区医師会長と懇談 政権交代後の医療政策等で意見交換
地区医師会長ら15人が出席して開かれた懇談会のもよう
協会は8月29日、地区医師会長との懇談会を市内ホテルにて開催。地区から15人、協会から7人が出席し、政権交代後の社会保障及び医療政策や京都府の「あんしん医療制度」などについて意見交換した。
関理事長は、冒頭の挨拶の中で、衆議院議員選挙の投票日を翌日に控え、民主党政権が誕生した場合の社会保障及び医療政策のポイントを二つに絞り説明した。一つは地方分権であるとし、「社会保障や医療保険などを含めあらゆる分野において、国のなすべき仕事と責任を地方に移譲された時、その結果の一つとして、給付水準をはじめとして地域格差が広がることが懸念される」と述べた。二つ目は官僚主体の政策立案から政治家主体の政策立案への変容であるとし、「各種の制度機構や審議会も大幅な改編が行われ、財界からの圧力や世論によってはより一層基盤が不安定になる可能性もある。医療界への対応が変わることも想定しておきたい」との認識を示した。
続いて、保険部会の古家理事からレセプトオンライン請求義務化について、垣田副理事長からは都道府県単位の医療費適正化施策と京都府提案の「あんしん医療制度」についてそれぞれ話題提供を行い、その後意見交換を行った。
医療費適正化施策に関しては、地区から、「少子高齢化が進む中で医療費が膨らむことは当然である。地区としてできることは、病診・診診間の連携を図り、検査の重複などの無駄を排除することである」といった意見のほか、京都府が診療報酬の決定権限を都道府県に委譲する提案をしていることについて、北部地区から「都市部に比べて北部地域の住民は収入が少なく、住民の負担金が増える可能性があり、賛成できない」との意見があった。
また地区から、2010年の診療報酬や介護報酬の改定について「プラス改定は期待できるのか。民主党や中医協には診療報酬だけでなく、介護報酬も同時に上がらなければ地域医療は崩壊へ向かうということを認識していただきたい」との意見が出され、協会から、「民主党は社会保障費の2200億円削減を撤廃するとしており、確約はできないが診療報酬がマイナス改定になることはないだろうと考えている。介護報酬は、ネクスト厚生労働省副大臣の構想では10%のプラス改定を行い、OECD並みにするとの考えも聞いている」と回答した。
レセプトオンライン請求義務化については地区から、医療界において電子化が遅れていることについて指摘があり、「柔軟に対応すべき」との意見があった。その一方で、実態はレセプトの電算化までで留まっており、オンライン請求は完全に実施できていない医療機関が多い。とくに高齢者が多い地区からは、「義務化に伴って廃業を考えている医師もいる。電算化の流れは仕方ないが、廃止時期を明確にするのではなく、自然淘汰的なものとしていただきたい」との切実な意見も出された。
これに対し協会から、「医師の高齢化が進み、対応できずに廃院を考えている医師がいることは事実であり、協会としてサポート体制を十分に検討していきたい」と述べた。
その他、地区交付金の目的や協会の発行物や印刷物について、また社会保障基本法についてなど意見交換が行われた。