地区医師会長との懇談会を開催
府保健医療計画などで意見交換 在宅医療の困難と工夫など
地区医師会長との懇談
協会は9月27日、地区医師会長との懇談会を市内のホテルで開催し、各地区医師会から会長及び副会長17人が出席した。懇談は協会・岩野理事の司会で進行。
冒頭、関理事長が挨拶、低迷するアメリカ経済の影響が日本にも及ぶ最中、麻生新内閣が誕生した。再任の舛添厚労相からは後期高齢者医療制度について、一時は廃止とも受け取れる発言があり、麻生氏も同調した経緯があるが、現在は「根本的見直し」ではなく、「改善」へトーンダウンしている。後期高齢者医療制度は廃止しかなく、我々は今後もそれに向けて全力で活動を続けていく、などと述べた。
次いで垣田副理事長が「京都府保健医療計画」の概要について説明、意見交換を行った。
この中で在宅医療に関して、市内を中心に在宅に携わる開業医が増えてきている。しかし、その実態は個人もしくは少人数のグループ内にとどまっており、地域単位の連携で医療が提供されているとは言いがたい。地域医療に関心を持つ医師が一人いても、協力体制をつくることができなければ十分に機能せず、地区医師会が核となって全体を牽引していく必要性があるとの意見が出された。
そうした中、地域連携の取り組みとして、乙訓医師会から、訪問したヘルパーや医師が1冊のノートを共有し、患者の容態を書き連ねる「在宅療養手帳」の紹介があった。また、左京医師会からは退院患者を対象にした主治医紹介の方法について説明があった。それによるとメーリングリストに登録している医師に対象者の情報を流し、手挙げ方式で主治医と副主治医を決定する。あらかじめ病院から依頼があった場合は入院中に病院のケアマネジャーや看護師などとミーティングを行うとのことであった。一方北部では、開業医が少ないため在宅医療まで手が回らない現状があり、北丹地区では100歳を超える高齢者も多く、医療よりも介護に重きを置く必要に迫られている、との窮状が述べられた。
さらに、どの地区においても、今後の地域医療には、医師のネットワークのみならず、介護などコ・メディカルとの連係も必要であり、関連施設との情報交換が不可欠になるといった意見が相次いだ。さらに、看護師をはじめとするコ・メディカルのレベルを上げるとともに、コ・メディカルの医療分野の裁量権を広げる仕組みが必要であるとの意見も出された。
その他、地区からは、後期高齢者医療制度や特定健診、レセプトオンライン請求義務化問題など山積する医療問題から新京都府医師会館への入居についてや、協会活動に関して意見があった。
【京都保険医新聞_2008年10月20日_1面】