在支病、「在支診との連携」は3割/医療マネ学会調査
在宅療養支援病院(在支病)が在宅療養支援診療所(在支診)と後方病床契約を結んでいるケースが約3割にとどまるとの調査結果を日本医療マネジメント学会がまとめた。同学会地域医療委員会の武藤正樹委員長(国際医療福祉大大学院教授)は「在支病の施設基準では在支診との連携は規定していないが、地域在宅医療の定着を目指す上で、在支病が後方病床の役割を果たすなど、在支診を積極的に支える機能が求められる」としている。
調査は、在支病の現状把握を目的に2011年1−2月に在支病374施設を対象に実施。有効回答数は106施設(有効回答率28.34%)だった。106施設の内訳は20−99床が56施設、100−200床未満が50施設だった。
地域の在支診との間で後方病床の契約をして連携を図っている在支病は32.0%にとどまり、在支診と連携していないとの回答が60.3%に上った。武藤委員長は「在支病と在支診の連携が希薄である実態が確認できた。ただ、一般診療所との連携も考えられることから、(在支診だけでなく)一般診療所が在宅医療で果たしている役割や実績なども十分に加味した報酬体系の構築が必要」と指摘した。
在支病の届け出を行った理由(複数回答)では「これまでも在宅に力を入れていた」が67.9%で最も多く、次いで「増収が期待できる」が44.3%で、7割近い施設が何らかの形で以前から在宅医療を手掛けていたとした。在支病が所有する関連施設については居宅介護支援施設が最も多く、訪問看護ステーション、デイケアなどが続いた。
在支病の施設基準については「24時間訪問看護の提供」「24時間連絡を受ける医師または看護師の配置」「患家への情報提供」などのクリアに努力したとの回答が多く、24時間体制を敷くためのマンパワーの確保が課題になっている現状があらためて浮かび上がった。
●24時間体制の維持へ輪番制の導入を
回答施設からは「病床要件(200床未満)は今のままがベスト」「24時間体制の維持のため(地域の診療所医師との)輪番制の導入を認めてほしい」「訪問看護師が単回皮下注射や筋肉注射をできるようにしてほしい」などの意見があった。24時間体制の維持のための輪番制の導入については、複数施設が要望していた。
武藤委員長は「在支病は現在、脳卒中などで連携パスを運用している。連携のノウハウは持っており、在宅医療に生かす工夫が必要だ」と問題提起した。(3/11MEDIFAXより)