在宅医療廃棄物「約4割の市町村回収せず」/日医など調査
日本医師会は3月9日、在宅医療廃棄物について市町村と郡市区医師会を対象に調査した結果を公表した。注射針や点滴針などの鋭利な廃棄物を除く非鋭利な在宅医療廃棄物を全て回収している市町村は推計で41.8%だった。一方、鋭利、非鋭利を問わず在宅医療廃棄物を全く回収していない市町村も推計で38.8%に上った。葉梨之紀常任理事が定例会見で概要を報告した。
環境省が2006年に実施した調査では、通知で示した望ましい方法に従って在宅医療廃棄物を回収するとしていた市町村は31.0%で、在宅医療廃棄物を全く回収していない市町村は51.5%だった。葉梨常任理事は今回の結果を「06年と比べると進んでいると言える」と評価したが、約4割が全く回収していないとし「これから在宅医療が推進されることで医療廃棄物の量が増えることが懸念される。市町村との役割分担が必要」と改善を求めた。
今回の調査で、回収しない在宅医療廃棄物がある場合に医療関係者と協議を行い、合意を得ていた市町村は31.3%、協議を行っていなかったのは62.7%だった。処理費用の負担は57.8%の市町村が「医療の提供者が負担するべき」とし、郡市区医師会では、51.1%が「市町村が負担するべき」とした。
調査は日医と日本産業廃棄物処理振興センターが協力して行った。100市町村とその市町村に位置する113郡市区医師会にアンケート調査をした。アンケートの回収率は市町村が84.0%、郡市区医師会が50.4%だった。
環境省が在宅医療廃棄物について05年に発出した通知によると、注射針などの鋭利な物は医療関係者または患者・家族が医療機関へ持ち込み感染性廃棄物として処理し、それ以外の非鋭利な物は市町村が一般廃棄物として処理するのが望ましいとしている。(3/10MEDIFAXより)