在宅医療で指針案、圏域設定で方向性/医療計画見直し検討会
国立長寿医療研究センターの在宅医療推進会議は7月13日、厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」(座長=武藤正樹・国際医療福祉大大学院教授)に、医療計画の作成指針に盛り込む「在宅医療」の体制構築に向けた指針案を提示した。在宅医療体制の構築に向けた具体的な手順として、患者動向・医療資源の情報収集や圏域設定について方向性を示した。在宅医療推進会議は、国立長寿医療研究センターの大島伸一総長が招集。在宅医療関係学会や医療関連団体の有識者で構成している。厚労省はこの指針案をたたき台として医療計画の作成指針とする考えだ。
この日は参考人として出席した鳥羽研二・国立長寿医療研究センター病院長が指針案を説明した。指針案では在宅医療をめぐる現状を解説した上で▽24時間365日にわたり患者の視点に立った多職種協働医療の提供▽看取りまでを行う医療機関を増やすための医療連携体制▽認知症在宅医療の推進―などを目指すべき方向として示した。
都道府県が医療計画を作成する具体的手順としては▽訪問診療数・訪問看護数などの患者動向情報▽在宅医療を行う施設・支援施設とその位置、医療機関の機能などの医療資源情報▽在宅医療を推進する協議体での協議調整状況など連携情報―など情報収集すべき項目を示した。医療提供体制を客観評価するためのストラクチャー指標・プロセス指標・アウトカム指標についても具体的項目を盛り込んだ。
●圏域設定、地域の関係者で協議体設置を
在宅医療の圏域設定については情報収集で得られた情報に基づき、介護との連携や区市町村単位の日常生活圏にも配慮した圏域を設定するなどとした。圏域設定について鳥羽参考人は、地域の医療関係団体や在宅医療・介護保険サービス関係者などで構成する協議体を設置することを提案し、「円滑で活発な、形だけではない連携を図る医療計画を作成していただきたい」とした。
都道府県が2013年度から新たな医療計画を開始するため、厚労省は年内にも検討結果を踏まえて作成指針を見直し、都道府県に示す。7月6日の社会保障審議会・医療部会は医療計画で医療連携体制を構築する4疾病5事業について、精神疾患を加えた「5疾病5事業」とすることを了承しており、今後の検討会での議論を踏まえて指針(医政局指導課長通知)を見直す。厚労省は在宅医療の指針はこれとは別の新たな通知として発出する考えだ。
この日の会合では、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会の各委員が資料を提出し、それぞれの立場から在宅医療の課題を示した。参考人から在宅療養支援の実態や機能分化についての詳細な分析結果も聴取した。(7/14MEDIFAXより)