在宅医療「社会的コストも踏まえた議論を」/佐藤医療課長  PDF

在宅医療「社会的コストも踏まえた議論を」/佐藤医療課長

 厚生労働省保険局医療課の佐藤敏信課長は11月14日、全国公私病院連盟が都内で開いた「国民の健康会議」のパネル討論で、今後の在宅医療の在り方について「日本は本当の意味でのコスト計算を十分にやってこなかったかもしれない」と述べ、今後は社会的コストを含めたエビデンスに基づいた議論を進めるべきだとの考えを示した。

 佐藤課長は、これまでの厚労省の認識として「在宅と入院を比較した場合、一般的に在宅のほうが安いと言い続けてきたと思う。しかし、経済学的には正しくない」と指摘。従来は医療・介護費用を抑えることで「とりあえず厚労省の役割を果たしてきたと考えていた」とし、今後、在宅医療を進める場合には「例えば女性が仕事をやめて親の介護をしたり、住宅をバリアフリーにしたりする場合のコストなどを含めて、本当の意味での議論をしていく時代になった」と述べた。

 地域的な特性によって医療が抱える課題が異なることを踏まえ、「全国に共通する医療提供のグランドデザインを描くことは難しい」として、都道府県や市町村などの役割の重要性を指摘した。ただ、自治体職員は医療関係以外にも幅広い分野の業務をこなしているため、「必ずしも複雑な医療制度に精通してもらえていない部分もある」ことを課題に挙げた。(11/17MEDIFAXより)

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