在宅医療、2次医療圏より小さい圏域も  PDF

在宅医療、2次医療圏より小さい圏域も

 厚生労働省は10月31日の「医療計画の見直し等に関する検討会」(座長=武藤正樹・国際医療福祉大大学院教授)に、都道府県が2013年度から実施する新たな地域医療計画について、在宅医療の医療圏は急変時対応や看取りに取り組めるよう、地域の状況に応じて2次医療圏より小さな圏域を設定すべきとの論点を示した。また、新たな在宅医療の指針に「退院調整支援担当者がいる施設数」などを盛り込む方向を示した。指標に基づいて設定する在宅医療体制の目標値について厚労省は、4疾病5事業に精神疾患を加えた「5疾病5事業」の目標値とともに今後の検討会で事務局案を示す考えだ。

 事務局の医政局指導課在宅医療推進室は在宅医療体制の状況として▽日常の在宅医療▽肺炎などでの急変時対応▽重症救急―の対応エリアは都市・郊外・過疎地などの地域によって違うと指摘した。在宅での介護については市町村が介護保険事業計画を策定し、市町村によっては在宅医療対策協議会といった組織も設置していることなどから、医療計画の策定に当たって都道府県は市町村との連携が不可欠となる。このため、事務局は都道府県と市町村の有機的な連携が求められると説明した。

 事務局は、在宅医療の医療圏設定について、症状安定時ばかりでなく、急変時対応や看取りへの取り組みができるように、地域の実情に合わせて2次医療圏か、2次医療圏よりも小さな単位で設定すべきではないかとの論点を示した。出席委員からは「急変時対応を考えれば、2次救急の医療圏に近いのではないか」「介護は市町村単位となっているが、医療は人員が限られるため、市町村よりも少し大きい方がよい」などの意見があった。 

 また、医療計画の策定・評価のため、2次医療圏単位の協議会を設置して都道府県と市町村の連携に役立てる方向性を示した。

 在宅医療体制については7月13日の会合でも議題となり、国立長寿医療研究センターに設置した在宅医療推進会議が指針案を提出している。10月31日の会合で事務局は、この指針案に基づく指標の案として、入院から在宅への移行を把握するための「退院
調整支援担当者がいる施設数」に加え、療養支援を把握する▽在宅医療サービスの実施診療所・病院数▽訪問看護ステーション数▽在宅患者訪問薬剤管理指導届け出薬局数▽在宅患者訪問診療実施件数▽訪問看護実施件数▽在宅患者訪問リハビリテーション指導管理件数▽看取りを把握するための「在宅看取りを行った診療所・病院数」―を示した。(11/1MEDIFAXより)

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