在宅と施設、整合性検討を/厚労省、要介護1−2の負担と給付で
厚生労働省は10月31日の社会保障審議会・介護保険部会に、新たな論点として「『施設の重点化』の観点からの検討」と題した資料を示した。要介護度1−2の利用者は、出来高払いの在宅に比べ、包括報酬となっている施設入所者の方が低い利用料で多くのサービスを利用できる状況にあることから、在宅と施設での負担と給付について整合性を図る必要性などを介護保険部会で検討するよう求めた。
厚労省はこのほか、新たな論点として1号保険料へのさらなる低所得者対策についても検討を求めたが、10月31日の会合では委員から、在宅と施設の整合性や低所得者対策に関する具体的な意見は上がらなかった。
●施設での「プラスα」のサービスとは
在宅と施設の整合性について厚労省老健局介護保険計画課の度山徹課長は、会合後記者団に対し「重点化の観点から何が考えられるか議論してもらいたい」とした上で、「バランス上は1割じゃなく、プラスα(の利用者負担)だろう」と述べ、施設にも一定のサービス量を設定し、それを超えた分は包括払いとは別に利用者が負担することも検討すべきとの考えを示した。
現在、在宅では要介護度別に定められている支給限度額を超えるサービスは利用者の全額自己負担で供給される。一方、要介護度別に1割自己負担の包括報酬が設定されている施設では、在宅で単価が設定されているようなサービスをどれだけ使っても利用者負担には跳ね返らない。厚労省はこの点に関して2011年3月審査分の介護給付費実態調査結果を示し、要介護度1−2の施設入所者は1割自己負担のまま在宅の支給限度額を上回るサービスを利用できている実態を指摘した。
●第5期中の総報酬割、不可能ではない
10月31日の会合から、介護2号保険料への総報酬割導入の是非を中心に、改正介護保険法の方向性などについて同部会が10年、取りまとめた意見書に両論併記した項目について、議論を再開した。総報酬割に関しては、結城康博委員(淑徳大総合福祉学部准教授)が12年4月から3年間の介護保険事業計画第5期途中から導入することはテクニック上可能かどうか厚労省に確認。度山課長は、法律に規定する項目次第では可能とした一方、「大きな変化であれば第6期からということになる」と述べた。
総報酬割導入の是非に関しては、10年同様、連合、経団連が強い反対意見を表明し、健保連は国庫負担を削減する財源目当ての導入であれば納得できないとした。(11/1MEDIFAXより)