在医総管等 居住場所での点数差に根拠なし 支援診・支援病へ緊急アンケート実施
実施期間:13年12月3日〜13日
対 象:286医療機関(支援診・支援病の届出を行っている医療機関)
回 答:92医療機関(回答率32・2%)
方 法:質問票によるアンケート調査
2013年10月30日の中医協総会で、サ高住などの高齢者用施設を運営する業者が、特定の医師に入所者を優先的に紹介する見返りとして、診療報酬の20%のキックバックを要求している事例や、過剰診療と考えられる事例が紹介された。そしてその規制の在り方として「在宅患者訪問診療料(以下、訪問診療料)と同様に、在宅時医学総合管理料及び特定施設入居時等医学総合管理料(以下、在医総管等)について、同一建物居住者とそれ以外に区分し、前者の点数を引き下げる」という提案がなされている。これを受け、協会は、訪問診療料および在医総管等について、同一建物居住者とそれ以外で点数差を設けることに関する会員の意識を明らかにすること、また高齢者施設の患者を紹介する見返りとしてキックバックを求めるといった不適切事例についての実態を明らかにすることを目的として、在宅療養支援診療所・支援病院(以下支援診等)を対象に緊急アンケートを行った。
訪問診療料は過度な点数差を問題視
はじめに、現在の訪問診療料について質問。同一建物居住者(400点もしくは200点)とそれ以外(830点)で点数に差があることについては、「主旨はわかるが点数差がありすぎる」が最も多く、57・6%となった。次いで「納得できない」が22・8%となり(図1)、点数差があるということよりも、「点数に差がありすぎる」ことが問題とされた。
在医総管等は点数差自体「納得できない」
次に、在医総管等において、今後同一建物居住者とそれ以外に点数差を設けることについては、「納得できない」が最も多く、65・2%となった(図2)。その理由として、「かかりつけ医機能を評価した点数であり、同一建物に居住していることと関係ないから」また「患者一人ひとりに総合的な在宅療養計画を作成し、患者等に説明し、それに基づいて管理する必要があるから」が大多数を占めた(図3)。在医総管等は、訪問診療料とは性質が異なる。「どのような形態の住居であるかは医療行為と全く関係ない」といった意見に象徴されるように、患者一人ひとりに対して医学管理を行うための点数であり、「点数に差がある」こと自体に根拠がないことを理由として納得できないとの意見が大半となった。
患者紹介料の支払いはゼロ
さらに、実際に患者の紹介の見返りとして、業者に診療報酬のキックバックを求められ、支払ったことがあるかについて尋ねたところ、「キックバックを求められ、支払ったことがある」と回答した医療機関は1件もなかった。「キックバックを求められたことがあるが、支払ったことはない」「ない」は合わせて95・7%となった(図4)。
「キックバックを求められたことがあるが、支払ったことはない」との回答が8・7%あったことから、キックバックを求める業者は存在していることが明らかになった。その一方で医療機関側はまじめに在宅医療に取り組んでおり、水際でキックバックを防いでいる。「ふざけた話で即断った」との回答もあった。
このように、ほぼゼロに等しい医療機関の不適切な対応により、まじめに在宅医療に取り組む大多数の医療機関をも巻き込んで経済的ペナルティを課す仕組みは、まさに不適切な改定案であり、不適切な行為を要求する業者の対応を規制することで十分であると考えられる。
以上のようなアンケート結果を受け、協会は12月26日付で田村憲久厚生労働大臣ら宛に「高齢者用施設を運営する業者が、患者を紹介することに対する見返りを求めることを厳に禁止すること。また、在医総管等において、同一建物居住者とそれ以外の場合に分けたり、患者の居住の場によって点数差を設けたりしないこと」とする緊急要望書を提出した。