在医総管の一物多価、湿布薬の記載要領に不満  PDF

在医総管の一物多価、湿布薬の記載要領に不満

会員の声受け厚労省に不合理是正求める

 協会は4月26日の『社会保険診療提要』の発行にあわせ、「16年度診療報酬改定の不合理点」について全会員アンケートを実施した。回答者の56%が「湿布薬を投薬・処方した場合、枚数にかかわらず1日用量または投与日数をレセプトまたは処方せんに記載する」こと、42%が「基本診療料が引き上げられなかった」こと、37%が「70枚超の湿布薬の処方制限」が不合理だと回答した。アンケート結果等を受けて、協会は理事会で不合理是正要求をまとめ、厚労大臣、中医協会長等に提出した。

 最初に、改定後1カ月を経ての感想を訊いた(自由意見)。在宅時医学総合管理料等の改定について、「大幅に引き下げられたことに驚き怒りを感じる。がんでなければ末期の方でも楽だと思っているのか」「月35万円は減る」「頻回訪問加算の400点引き下げは労働意欲の低下とともに、受け入れの段階で考えさせられる」「単一建物の締め付けが強い」「施設への訪問で2人診ているが、1人減ると高額になる。患者自身には全く関係のないことで高額になることが理解できない」との意見が出された。

 また、湿布薬について、「記載要領の変更のため手間が増えた」「処方が面倒だ」「枚数の制限は不合理。病状に応じて処置するのが正しく、事務的に処理するのはおかしい。納得しない患者も多い」「保険外しに向かっているのか」との意見が出された。

 その他、「小児かかりつけ診療料は現状に合わず、小児科の協働、患者のフリーアクセスを阻害する」「リハビリの点数がややこしくなった」「中小病院にとって大変厳しい改定」「有床診療所では在宅復帰機能強化加算が新設されたが、それ以外に変更がない。初期加算の施設基準の緩和も求めたい」との意見が出された。

 次に、16年度改定の不合理点を訊いた(複数回答)。詳細は別表(2面)の通り。冒頭に述べた結果以外に、24%が「向精神薬多剤投与の減算規定の強化」、21%が「在医総管・施設総管の頻回訪問加算の400点引き下げ」等が不合理であると選択している。

 その他の不合理点や、困っていること(自由意見)については、「診療所からの精神科訪問看護・指導料とステーションからの訪問看護療養費が同月算定不可になること」「外来後発医薬品使用体制加算が入院基本料の加算と比べて低すぎる」「内服薬を7剤投薬すると10%減額で納入価を割ってしまう。老人は病気を複数持っており、6剤以下では無理なことが多い」等の意見が出された。

 最後に、今回の改定で患者の態度や受診行動に変化があるか訊いた。「ある」11%、「ない」「変化なし」が合わせて48%、「分からない」37%だったが、「ある」の内容について、「(向精神薬多剤投与の減算規定が厳しくなり)患者が詰め寄ってくる」「さらに長期処方を希望」「院外処方を嫌がるようになった」「湿布の枚数の一処方70枚について不満の訴え」等の意見が出された。

鼻腔・咽頭拭い液採取の算定制限撤回等を求める

 協会は、本アンケートの結果および4月25日に出された厚労省疑義解釈(Q&A)を踏まえ、6月14日の理事会で「不合理是正要求」をまとめた。緊急な不合理是正が必要と思われる以下(1)から(3)に絞り、20日付で厚労大臣、副大臣、大臣政務官、中医協会長および同全委員に対して送付して要請した。

 (1)鼻腔・咽頭拭い液採取について、同日に複数検体の検査を行った場合も、1日につき1回の算定とする不当疑義解釈を撤回し、同一日に複数回採取し、複数種類の検査を実施した場合は、実施回数分の算定を認めること。

 (2)湿布薬について、「1日用量または投与日数」をレセプトや処方せんに記載することを義務付けるのはやめること。

 (3)通院・在宅精神療法を行う患者について、1回の処方で3種類以上の抗うつ薬または3種類以上の抗精神病薬が処方されている場合、所定点数の100分の50に減額する取扱い(16年7月実施)を中止すること。

 協会は引き続き、不合理是正要求に取り組む。必要に応じて適時アンケート等の調査活動に取り組むので、会員各位におかれてはご協力をお願いする。

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