国際化で医療市場を拡大/経産省・研究会が報告書
経済産業省は6月30日、医療の基盤強化と市場拡大を実現するための方策を検討してきた同省の「医療産業研究会」(座長=伊藤元重・東京大教授)の報告書を公表した。日本の医療市場を拡大させるためには、健康サービスなどの医療周辺サービスを提供する「医療生活産業」の振興と、医療の国際化が必要と指摘している。
報告書では、日本の医療市場の現状について、高齢化の進展に伴い医療に対する需要が増大している一方、国民皆保険制度の中で行われる計画的なサービス供給では、需給を自律的に調整する機能が低いため、需要と供給のギャップが発生しているとの認識を示した。その上で、公的保険制度の外の世界を活用しながら、増大する需要に応じた供給が行われるよう医療の産業化を進め、医療市場を拡大する必要があると指摘している。
具体的な取り組みとしては▽疾病予防や疾病管理、介護予防、リハビリ、慢性期の生活支援などをサポートする「医療生活産業」の振興▽外国人患者の受け入れを促進することなどによる医療の国際化▽医療情報のデジタル化・標準化―の3点を挙げた。
促進に向けた動きが加速している「医療ツーリズム」をめぐっては、医療機関や旅行代理店、通訳・翻訳業者などによる受け入れ支援組織の創設と、それに対する国からの支援の必要性を強調。受け入れ能力を持つ医療機関を政府が認証し、認証を受けた医療機関には、医療法上の病床規制の特例や外国人医師・看護師の受け入れなど、必要な規制緩和を検討すべきだとした。(7/1MEDIFAXより)