国立病院に是正勧告71件/7年間で、残業代未払いも
医師や看護師の時間外労働に対する割増賃金の未払いや過重労働があったとして、国立病院機構が運営する全国の病院が2004−10年度に、71件の是正勧告を各地の労働基準監督署から受けていたことが2月9日、分かった。
東京都に住む男性が10年12月、機構に情報開示請求し、是正勧告書などが開示された。未払い額などは不明。
それによると、医師らに対する割増賃金の未払いや、労使協定で定める制限を超えて時間外労働や休日労働を行わせた過重労働などが労働基準法違反とされた。1人の医師に約110万円の割増賃金を支払っていなかった事例もあった。
ある病院では、放射線業務に従事する職員に定期健康診断を受けさせず、労働安全衛生法に違反すると指摘された。
国立病院機構の担当者は「現時点ではコメントは出せない」としている。機構は全国で144の病院を運営。約5万人の職員が勤務している。
病院に対する同様の是正勧告は各地で相次いでいる。過労死弁護団全国連絡会議の松丸正弁護士は「これまで医療現場では労働基準法が守られておらず、医師らの『患者のために』という聖職意識に甘えてきた」と話している。【共同】(2/14MEDIFAXより)