国立大病院の充実に100億円/文科省・概算要求
文部科学省は8月30日、2011年度予算の概算要求の内容を公表した。国立大学付属病院の教育研究体制の充実強化に100億円を特別枠として要望する。高度な医療人材の養成と大学病院の機能強化では69億円を求める。
国立大の付属病院は地域の中核的医療機関として重要性が増しているが、本来の使命である教育研究機能が弱体化しているとの指摘が上がっていた。新しい医療技術や治療法を開発する「メディカル・イノベーション」の実現のため、人材を養成する体制構築や環境整備などを重点的に支援する。医療機械設備の整備にも33億円を求めた。
医療人材養成についてはチーム医療に対応する人材の養成を重点とした。チーム医療を推進するため高度な看護師や助産師、薬剤師らの養成を行う大学への支援として7900万円を要求。各種技師(士)らの専門能力向上のための予算1億4000万円も求め
た。
ほかに、がんを専門的に扱う人材養成の支援に19億5000万円、大学病院が連携して専門医を養成する取り組みに12億4900万円を盛り込んだ。病院の機能強化としては、新生児集中治療室(NICU)などの整備に4億9900万円を要求。医療クラーク1129人分の増員のために20億6600万円を求めた。
研究分野では、新規事業として次世代がん研究戦略推進プロジェクトに38億円を求めたほか、再生医療の実現化プロジェクトに16億円増の40億円、うつ病や認知症の仕組みを明らかにする脳科学研究に14億円増の38億円を要求した。
文科省全体の要求額は5兆8348億円で、このうち特別枠は8628億円。特別枠を含めた要求額は10年度予算に比べて2422億円(4.3%)の増となった。(8/31MEDIFAXより)