国立大病院、5年連続で収益増/09年度決算
文部科学省はこのほど、国立大学法人などの2009年度の決算をまとめた。国立大の附属病院の収益は7826億円で前年度に比べて358億円(4.8%)増加し、5年連続の増加となった。一方、診療経費も361億円(7.5%)増の5196億円。文科省がまとめた「国立大学法人化後の現状と課題について」の中間まとめでも、診療業務の負担で人材養成機能が低下していると指摘があり、診療業務が増加している実態が財務上からも明らかになった。
●運営費交付金減少も「しわ寄せ」の懸念
全国の86国立大学法人と4大学共同利用機関法人の決算などをまとめた。附属病院の経常費用を見ると、教育研究経費、診療経費、人件費のいずれも増加していた。教育研究経費は前年度比5億円増の113億円、人件費も同様に38億円増の3679億円で診療経費に人件費などを加えた合計では9431億円となった。
経常収益を見ると、病院収益が増加している一方、運営費交付金収益は101億円減の1502億円で合計は9727億円となった。国は附属病院収入が診療経費と借入金の返済額の合計に満たない法人に対しては「附属病院運営費交付金」を補助しているが、附属病院の経営改善による収入増加により、国からの運営費交付金が年々減少している。ただ、運営費交付金収益を詳細に見ると、そのほかの運営費交付金が占める割合が増加しており、文科省の決算のまとめでは「しわ寄せが学部などに及んでいることが懸念される」としている。(7/23MEDIFAXより)