国民皆保険を破壊する規制改革会議の混合診療解禁策に反対する  PDF

国民皆保険を破壊する規制改革会議の混合診療解禁策に反対する

 NHKは3月19日、政府の規制改革会議が「基本的な考え方」として「混合診療個別に診療行為の決定を」との方針をまとめたと報道した。この報道は、政府がかつてない深度で混合診療本格解禁へ踏み出そうとしていることを露わにした。

 報道は、規制改革会議が「『混合診療』について、患者と医師の責任で個別に診療行為を決められるように改める」方針を固めたとする。即ち「『混合診療』の対象となる診療行為は、患者の個別のニーズに速やかに対応するため、『選択療養』と呼ばれる新たな仕組みを設けたうえで、すでに国が認めている先進医療などに加え、患者と医師の責任で個別に決められるようにすべき」だというのである。

 第二次安倍政権の下、規制改革会議は「改革の方向性」として「患者の自己選択権の拡大」や「医師の裁量権の尊重」を前面に立てる形で、新たな混合診療解禁の仕組みを検討してきた。報道で明らかになったのは、医師と患者の同意を根拠にした混合診療のなし崩し解禁策である。安心、安全の医療に対する国の責任を放棄し、医師と患者の「自己責任」にすり替えるものだ。この報道内容が事実とすれば、私たちは、今回の構想を絶対に認めることはできない。

 全国民に加入を義務付けた国民皆保険は、個々の経済力の違いに左右されることなく必要な医療を提供する医療制度である。国民の生命、健康を守るための医療は、すべて保険から給付されることが原則である。混合診療はその原則を破壊し、経済格差による医療内容の格差を容認する仕組みである。そもそも1984年の特定療養費から始まり保険外併用療養費へと命の平等を蝕んできた評価療養・選定療養の枠組み自体、大きな問題を孕んでいたのであり、こうした制度を皆保険の仕組みの中に設けたこと自体が問題であったことをまず指摘しておく。

その上で、今回の新構想が、単なる保険外併用療養費の対象拡大とは違うことを指摘する。

 従来、国(厚労省)は、アメリカや日本財界、国内の規制緩和推進派が要求する混合診療解禁に対して、医療の安全性確保の観点から慎重姿勢を示し、安全性と対象選定に国が最終責任を負える範囲内での保険外併用療養費制度の運用までが許容の範囲と主張してきたはずである。これに対し今回の「選択療養」の仕組みは、最終的に対象医療の選択と実施の責任を医療者・患者の同意に一任してしまうものである。医療者と患者が同意すれば何を混合診療化しても良いのであればそれは混合診療そのものであり、全面解禁の仕組みであると言わざるを得ない。コンパッショネートユースを理由に容認しようとする国の姿勢は、非倫理的である。

 この間、「費用対効果」を理由とする保険収載見合わせのルール化と抱き合わせで保険外併用療養費制度の対象拡大方針が報道されている。背景にある安倍政権の「成長戦略」が、医療分野の規制緩和とりわけ混合診療の本格解禁を切望しているからであろうが、厚労省がその要求に屈し、唯々諾々と解禁を認めていって良いのか。今一度その立場と見識を問いたい。

 わが国の国民皆保険制度は国民の健康を守ってきた実績から、世界でも注目されてきた誇るべき医療制度である。私たちは、今回報道された「選択療養」の方向性に対し、断固抗議し、撤回を求める。そしてあの手この手で狙われつづける混合診療解禁は、それがいかなる形であっても認められないことを再度強く表明する。

  2014年3月25日

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