国民が考える医療の課題「高齢者のための施設整備」/日医総研WP
国民の56.5%、患者の63.5%が、医療制度で最も重要な課題は「高齢者などが長期入院するための施設や介護老人保健施設の整備」だと考えていることが、日医総研のワーキングペーパー(WP) で明らかになった。また国民の87.2%が、大病になったときの医療費に不安を抱いているとの結果も出ており、WPでは「医療全体の満足度との関連も含めて検討が必要だ」と指摘している。
調査は、国民2000人、病院と診療所の各25施設に通院する外来患者、日医会員2000人を対象として2008年7月に実施した。有効回答数は国民1313件、患者1078件、医師772件。
その結果、国民・患者が考える重点課題については「高齢者などが長期入院するための施設や介護老人保健施設の整備」がトップとなり、02年、06年に実施した過去2回の調査でトップだった「夜間、休日の診療や救急医療体制の整備」を上回った。
不安に感じていることの上位は「大病になったときの医療費」(国民87.2%、患者88.3%)、「病院から早期退院を促されること」(80.7%、 85.4%)、 「病院の病床(療養病床)の削減」(78.4%、 85.3%) で、いずれも患者はより大きな不安を感じている結果となった。救急医療に対する不安も大きく、将来の地域の救急医療に不安を持つ国民は61.8%、患者は74.1%だった。
かかりつけ医に対し、専門医への紹介以外に期待するものとしては、国民、患者ともに「総合的に診るための幅広い最新の診療能力」(国民54.0%、患者55.2%)、「夜間、休日を含めた24時間対応」(45.7%、 47.7%)、 「検査結果などほかの医療機関との情報共有」(44.6%、 53.6%) が上位に挙がった。
一方、医療全般に対する満足度については、医師の84.1%が不満と回答した。年齢別に見ると、30歳代が87.1%とトップ。次いで40歳代が86.4%、50歳代で85.8%、29歳以下が83.3%となった。